2015-04-17
期間 | 売却 | 不動産 | マンション | 値下げ
お持ちの不動産の売却を検討している方から、質問される事、疑問に思う事の上位に必ず来るのが「どの位の期間で売れますか?」
買い手があってのことですので、マンションや中古の戸建てなどの不動産の査定の段階で、必ず「〇か月あれば、確実に売れる」とは言えません。確実に売れる期間を予測すれば、予測しようとすればするほど、売出価格の設定が安くなってしまうという問題も出てきます。当たり前ですが、市場としては、明らかに安ければ、確実に売れます。
しかし、「極力、高額で売れる為の、適正な売却期間」という事であれば、通常2~3か月程度を見積もっておけば、問題ないでしょう。
理由は以下の通りです。
①、売り出しを始めてから、1か月以内に内覧に来る買い手の候補者たちは、「そのマンションにそもそも興味があった人」である可能性が高く、買い手の条件に合った物件であり、売出開始に反応してスグに仲介会社が紹介していることが考えられる、いわば、意欲の高い買い手である可能性が高い
②、良心的な不動産会社であれば、物件情報をオープンにしている為、多くの不動産会社で取り扱いを実施しているので、1か月程度で、「現在、買いたいという意思を持っている人」への情報提供は、ほとんど完了している。
③、一般的に、売り出し期間の価格設定は強気の価格で実施します。様子を見ながら、価格改定をおこなっていくといったフローになる。
上記期間を過ぎても、売れ残っている場合に、価格の改定を検討していくといった流れになります。
また、価格を下げるタイミングはいつがいいのか?
1、担当者から「反響が少なく、内覧も入りません。」「その理由は価格が高すぎるので!」と言われたら?
2、不動産会社のホームページに物件情報が掲載されている場合に、「自社のホームページ」に物件が掲載されている場合に、「当社のホームページで掲載しているのですが、お客様の物件だけ、ページビューが上がっていません。」などと報告があり、「値下げしませんか?」と提案された。
(※ページビュー=ホームページに見に来ている人の数、訪問数の事。)
上記のような事を言われてしまった場合、どうしたらよいのか?迷いますよね?
媒介契約した不動産会社から、こんなことを言われたら、その言葉が正しいことを言っているのか?一般的には、売主さんが、この言葉を確認する方法や手段がありません。相手は、不動産のプロですし、ほとんどの人がその人の言っている事を信じて値下げに入ってしまいますが、事前に以下の事はしっかり、確認しておきましょう。その上で、問題なければ、値下げを検討しても良いかもしれません。そうでない場合は、まだ、値下げに踏み切るのは早計と言えるかもしれないですよ。
★売却中の物件の値下げをする前に確認してほしい事項
①広告宣伝活動
・大手不動産会社のホームページに、自分の物件が掲載されているかどうか?少なくとも2社程度には、掲載されていることを確認して下さい。ちなみに、大手と言えるのは、「三井ノリハウス」、「ノムコム」、「東急リパブル」、「住友不動産」、「三菱地所ハウスネット」の事を指します。1社しか掲載されていない、または、全く掲載されていないのに、値下げ交渉してくるようであれば、そんな不動産会社との媒介契約自体の見直しが必要かもしれません。
・大手不動産ポータルサイトに、自分の物件が掲載されているか?こちらも、上記と同じく最低でも2サイトには掲載されていなければ、話になりません。ちなみに大手ポータルとは、「SUUMO(スーモ)」、「HOME’S(ホームズ)」、「at home(アットホーム)」、「O-uccino(オウチーノ)」、「Yahoo!不動産」などを指します。1サイトしか掲載されていない、または、全く掲載されていないのに、値下げの話を持ち出してくるような不動産会社は、こちらも、上述同様、媒介契約自体を考え直した方が良いですよ。
・売り出し中のマンションへの館内ポスティングチラシ、近隣賃貸マンションへのポスティングチラシを配布しているか?
ただ、配布していればよい訳でもなく、少なくとも同物件で、2回程度は、配布していることを報告していないようであれば、まだ、値下げは早いです。
・潜在顧客を持っていそうな、近隣エリアの不動産仲介会社へ、ファックスDMを行い、物件の告知を行っているのかどうか?これも、2度くらいは最低実施していなければ、ダメです。不動産会社は忙しいので、1度のファックス程度では、見ていない可能性があります。
・マイソク(物件広告)は十分に物件の魅力を伝えているか?写真も多く使って、物件を知らない人でも、良いイメージを持ってくれそうな内容になっているか?他の物件の広告と見比べてみましょう。力の入れようの違いが分かります。特に同地域の同価格帯の物件と見比べると、違いはさらに鮮明になるでしょう。比較対象より、見栄えがあれば、問題ないでしょうし、見劣り感がするようであれば、再考の余地があります。
・レインズにも写真が掲載されているのか?他の不動産会社が物件の情報を把握しやすい状態で掲載されているのか?レインズでの掲載情報は不動産会社でなければ、見ることが出来ませんが、時として、見せてくれる会社もあります。ただし、断られても、仕方ないので、もし、見せてくれて見比べることが出来れば、判断の一つに加えて下さい。
②売却物件の状態に関して
・(空室にして売却活動をしている場合)買い手の意欲が下がるような状態のままで内覧を受けていないか?見た目が悪い状態を指します。他の物件の内覧を複数、行ってみると、違いが分かります。
・部屋のクリーニングはしっかりできているか?清掃業者を入れる必要はありません。きれいに整っている状態であれば問題ありません。
・場合によっては、説明パネルや、物件のアピールシートを部屋内に設置しているか?これは、他の物件を見に行くと、置いてあるパターンが最近、多くなってきているので、是非、参考にしてみてください。
・飼育しているペットなどのニオイが残っていないか?
③営業担当とのコミュニケーションに関して
・現在の販売価格で売却成立に至らなかった経緯報告が理解できるか?曖昧な内容になっていないか?納得できる内容かどうか?
・周辺の事例を再調査し、最近の市場状況を共有してもらっているか?過去の事例だけで話しているような担当者の場合は、媒介契約自体の見直しが迫られます。過去の事例は、過去の相場であって、現在の相場ではありません。半年以前であれば、過去の事例と判断しましょう。
・査定から見積もりに至って、販売価格を出しましたね?その際の販売計画との現在のギャップがあるかどうかを確認してください。ギャップが無ければ、問題ありませんが、ギャップがあれば、それを是正する必要があり、実施していない内容が無いか、確認してください。
・同地域の競合物件の情報を共有してもらい、自分の物件との違いを教えもらっているか?比較して、良い点、悪い点などを確認しましょう。これも、現在の市場状況を担当者は知っているかどうかの確認につながります。
上述のチェックポイントをしっかり確認しましょう。やるべき打ち手はしっかり、やっているのかどうか、不足は無いか、しっかり確認してください。その上で、問題が無ければ、納得できれば、値下げの検討ができるという事です。
しかし、値下げをするといってもタイミングがありますので、ここでも、注意が必要です。
1月、2月は、1年で最も買い手が多い時期に当たります。価格改定、つまり、値下げを検討しているのであれば、この月に入ったら、早めに値段を下げるべきです。逆に12月は、そもそも客足が落ちる時期でもあるので、このタイミングで値段を下げても、あまり意味が無く、価格の新鮮さが伝わってきません。12月は極力売り出す価格を維持して、新年の1月に値段を下げて、新価格として、リリースして、オープンルームを実施するなどの打ち手を実施するのが理想です。
秋になると新築のマンションの販売件数が多くなります。この時期は、顧客候補が一気に動き出す時期になります。中古物件にとっては、「秋売り」は勝負時期になりますので、9月末に値段を下げられるようであれば、販売の角度は大きく高くなると言えます。
新築のマンションの秋売りが多い理由は、各デベロッパーに仕入れの目標があり、「3月末までに何個分の土地を仕入れる」などのノルマが発生しているからです。3月末までに買い占めた土地が商品化に漕ぎ着けるまでには、半年程度かかるので、結果、秋売りが多くなるという事になっています。
不動産は一般の小売商品とは性質が異なり、ボーナス時期に動くという事はありません。そんな説明をしてくる担当者がいたら、媒介契約自体を検討してください。
スグに値段を下げてこようとする営業担当がいますが、最近、簡単に契約をしたいという意図だけで話をしてくるような不動産業者は多くなっています。値段を下げるという事は、今までの戦略に大転換を図るという事、過去の提案内容や戦略に間違いがあったという事です。上記の点を注意して、判断してみてください。