2015-04-20
不動産査定 | 買取業者 | メリット | デメリット | リフォーム
◆不動産会社の買取とは?
最近では、中古のマンションを買い取る不動産会社が増えてきました。
一都三県と言われている東京、埼玉、千葉、神奈川などの南関東で東京にアクセスが良好な地域では、中古のマンションを買い取る不動産業者が最近、増えてきました。現在30社以上は、そういった会社が出てきました。どの不動産会社でも資金力があれば、だれでもできるので、買取事業を手掛ける不動産会社は増えてきています。ビジネスモデルは非常に単純で、「マンションを安く買って、高く売る」といった内容になっています。
買い取った後には、付加価値を付ける為に、数百万円程度の費用を掛けて、マンションをリフォーム、リノベーションなどを行います。
マンションオーナーつまり、売主にとっては、以下のようなメリットが5つあります。
①、知人や他人に知られることなく売却をすることが出来る。
②、査定から売却までの数か月といった時間を要することなく、数日で売却ができる。
③、瑕疵担保責任という責任を売主さんが負わなくても良い。
④、仲介手数料が無料になる場合がある。
⑤、売るためにリフォームやリノベーションをしなくて良い。
一般的には、マンションを売却したい場合は、不動産査定を行い、不動産会社を選定して、媒介契約を結び、それから2か月から3か月程度の売却期間を必要とします。場合によっては、半年以上かかる事もあります。次の物件が決まっている人や、住宅ローンを共に負担していた離婚や死別してしまった人など、スグにキャッシュが必要な人にとっては、嬉しいシステムとも言えます。
③の「瑕疵担保責任」は、分かりやすく説明すると、「売却後にどこか不具合があった場合、売主さんが、その不具合に対して責任を負う」という意味なので、物件が古ければ古いほど、この責任が回避できるとすれば、安心の内容と言えます。
不動産を売却した後は、通常、売主さんが瑕疵担保責任を負うのが一般的です。買い手が購入してから一定期間は、給水管が壊れたり、水漏れが発生したりすると、売主さんが、費用を負担する必要があります。不動産会社が物件を買い取ってくれるのであれば、もし、同様の事態があっても、負担するのは不動産会社になります。ですのえ、売主さんが負担する必要は無くなります。
築年数が古いと、どうしても、築年数が浅い物件に比べると売却期間は長くなります。その結果、売主は、場合によっては売却期間に入る前、不動産査定の段階で、査定価格を上げる為に、リフォームなどをしてしまうのですが、プロではないので、見た目に良く見せても、不動産価値として大事な部分ではなく、意味のないリフォームになってしまう事が多く、結果、リフォームしたところで、高く売れなかったという話はありがちです。
同じ物件でも、プロの不動産会社が安く買い取って、リフォームして高く売るという事業が「買取」です。
◆不動産会社が中古物件を買い取る場合の売主にとってのデメリットとは?
では、一体、不動産会社が中古物件を買い取ってくれる場合のデメリットは一体どこにあるのでしょうか?
答えは分かりやすいです。「販売価格が安くなってしまう。」という事です。どの位の金額で不動産会社が買取ってくれるかと言えば、通常の相場であったり、査定した際の金額の7割から7割5分程度です。
つまり、5000万円で売れると思っていた物件は、3500万円~3750万円ということになってしまいます。高額な物件であれば、あるほど、損した感じになってしまいます。
どうして、そんなに安い金額になってしまうのかと言えば、これも、答えは簡単で、買取会社の利益が乗ってくるからです。
買取と言うのは、下取りとは異なります。下取りと言えば車が一般的ですが、車の場合は、販売店の販売台数実績や、実質の値引き分などもあり、下取りに出す方が、売却するよりも高い金額になることもあります。
これに対して、不動産の買取をする会社は、分かりやすく、転売益を狙っています。ですので、転売に要する諸経費や利益を考えると、相場の7割から7割5分程度の金額で買取になってしまうのです。
周囲の人などに知られず、早く、短期間に売却しなくてはいけないという事情が無い限り、安く売却してしまう理由は無いでしょう。
◆不動産会社が中古物件を買い取る場合の売主にとってのメリットとは?
上記の文中では、中古物件を不動産会社に買ってもらう事に対して、悪いイメージをお伝えしてしまいましたが、実は、場合によっては、その方がお得な場合もあります。以下の条件に合致する場合は、不動産会社に売却してしまうのも手です。
①、築35年から40年程度のマンションの部屋
②、火災などの事故の履歴がある部屋
③、室内の状態が汚れていたり、壊れている部分が多くある保存状態が悪い部屋
現在の物件の状態では、なかなか、買手が付きにくい状態で、売るにはどうしても、費用を掛けて、リノベーションや、リフォームを必要とする状態の物件であれば、不動産会社に安い金額になってしまったとしても、売れないよりは良いという事で、売主にとってもメリットがあると言えるでしょう。
もし、フルリフォームとなると、内訳としては、キッチン、お風呂、トイレなどの水回りや、フローリング、畳、ドアなどの建具の交換、古ければ、排水管などの交換なども発生します。
上記、全部を新しくする、直すと考えると、どの位の費用が発生するのかと言えば、目安としては、例えば、売主が3LDKのファミリータイプのマンションを全部リフォームするとした場合で、安く見積もって600万円程度、高く見積もれば、上限はありませんが、1000万円程度の予算が必要になってきます。
しかしながら、買取会社、つまり不動産会社であれば、多くのリフォームなどを発注している経緯から、安い料金でリフォームが出来ます。つまり、売り手にとっても買い手にとっても、良い結果という事になります。
◆仲介会社と買取会社の関係を知っておこう
不動産会社が、売主の物件を買いたいといった場合について、具体的な事例を交えながら、仲介会社と買取会社の関係を知っておくと、安易に買取会社を選択しなくなるかもしれませんが、知っておいて損は無いので、解説します。
売主:35歳、妻と子供の3人家族、転勤の関係でマンションを売却
所有マンション:新築で10年前に4750万円で購入(頭金750万円、ローン4000万円)、毎年繰り上げ返済をした為に、残債は3300万円
地域:最近では新築が建っていない、程度の良い中古のマンションで、価格が下がっていない物件も存在する。
不動産査定金額:4500万円
希望売却金額:4000万円
売主はある仲介会社に不動産の査定を依頼しました。査定会社は、早期の売却を提案し、売主は最低希望価格の4000万円で売却を進めるように、不動産会社と媒介契約をしました。
しかしながら、査定時4500万円と言われているように、4500万円で売れる可能性がります。
例えば、仲介会社が4500万円で購入してくれる買主を既に、持っていると仮定します。
希望売却金額は4000万円ですので、仲介会社は買主に4000万円でスグに売却することも可能です。ですが、仲介会社が自社で4000万円で買い取り、買主に4500万円で売却したらどうでしょう。仲介会社の利益は500万円です。更に仲介手数料の3%が手に入ります。また、買主からも仲介手数料を取っていたとした場合、得するのは、仲介会社だけで、売主も買主も損をするという事になります。
◆不動産会社の誘導には注意が必要
仲介会社が買取り会社を兼務している場合は、転売利益が仲介手数料を上回ると分かれば、先程の例の通り価格差で利益を稼ごうとします。
では、買取業者と仲介会社が異なる場合はどうかと言えば、こちらも同様で、売主にとっては不利益を生じさせる可能性があります。
買取会社は利益を出すために、仲介業者に営業をします。また、仲介業者は手っ取り早く、両手仲介、つまり、買主、売主の双方から仲介手数料を貰う形を取りたいので、スグに買い取ってくれる買取会社は、大事な顧客です。
現在、買取業者は首都圏を中心に乱立し始めてきました。その為に、仲介業者に対してインセンティブを支払っていることが多く、内容としては、自社で転売する物件の販売を委託するという内容で、買取業者へ売却した際に6%、買取業者が転売する際に6%、つまり、合算して12%のインセンティブが仲介業者に入るという構造です。
こういった事情から、媒介契約した不動産仲介会社が、7割程度の金額で自社で買い取るだけでなく、買取業者に転売する目的で、値下げを誘導してくるケースが多いので注意が必要です。
値下げや、安易な買取には、よほどの事情が無い限りは選んではいけません。当サイトの別のコラムにも記載させていただいております。
(「不動産を売る」の項のタイトル「どの位の期間で売却される?値下げのタイミングは?」)
こちらを参照いただき、やるべきことをやった上で、初めて値下げや、業者への売却を検討されることを推奨します。