建築時の「こだわり」は査定や売却金額に影響する?

 2015-12-21   不動産 | 査定 | 査定額 | 販売価格 | こだわり
 売主の価値観と買主の価値観の違いについて述べていきたいと思います。その典型的なのが、売主がその物件を建てる際の「こだわり」です。たとえ話を挙げていくときりがないのですが、以下、いかがでしょうか。こだわりを入れている分、査定額を検討してくださいなんて事もよくありがちですが、例えば以下のようなこだわりがあったりします。
・建築時に、エアコンを天井に入れてみた。
・すべての部屋に床暖房を完備している
・駐車スペースに屋根を作った
・壁に物を飾る為の台を作った
・エントランスや台所に大理石を使っている
・お風呂のサウナがある
確かに、一見すると、おどろくような特長とも言えます。ですが、果たしてそれは、査定額を上げる根拠になるのでしょうか?売却成立金額を釣り上げるポイントになるのでしょうか。
 土地を購入して戸建てを建てる際に、良かれと思って売主さんが当時作った設備などは、確かに、販売する際にポイントとして、掲載もしますし、買主候補の方にアピールしまくります。
 しかしながら、査定額を向上させることが出来るかと言えば、それほどの効果が無いという事を言い切らせていただきます。その地域のその場所のその間取りの、その物件二興味を見出してくれる買主候補を見つけ出すのも、よほどの人気エリアという事でない限りは、かなり苦労します。その上、そういった「こだわり」の同じ部分に価値を見出してくれる買主候補はなかなか、ヒットすることは難しいものです。
 上述のポイントに対して、大体の買主は以下の通り感じる事でしょう。
・新しいエアコンを購入する予定だからいらない
・昔の床暖房はメンテナンス費用もかさむので、むしろ新しい床暖房を検討したい
・駐車場の屋根はいらないから安くならないのか?
・ものを飾る台自体は悪くないけど、今の流行りではない
・大理石は要らないから安くならないか?大理石って売れないの?
・人が使ったサウナは要らないし、サウナって取り外せないの?
といった真逆の反応の方が圧倒的に多いのです。設備というのは、時間の経過とともに、老朽化が始まり、メンテナンスと言った維持費の部分を気にする揚げ足になりかねない上に、買主からすれば、少しでも安く購入したいという意思があるので、むしろ邪魔な存在として認識することが多いものです。
 そういった見える部分にコストを掛けて建築されるよりも、建物の質という見えない部分、例えば耐震設計や耐火性、風通し、頑丈さなどの建物そのものの根本部分に費用を使っていると言った方が、価値を上げる材料になりやすいと言えます。見える部分よりも見えない部分にコストを掛けた人は運が良いというか、先見の明があると言えるかもしれません。
 とは言え、悲観的な話ばかりではありません。査定額に影響がなかったとしても、それは、物件のアピールポイントにはなるので、アピールポイントが多ければ多いほど、他の物件と比べて目を引くものです。
 物件を販売される際、不動産会社と媒介契約を結んで、これから販売だというタイミングまでに査定の段階を含めて、しっかり不動産会社には、アピールポイントと思えそうな部分は、たとえご自身の中であまり価値が無いのではないかと思われる部分も含めてしっかり伝えるようにしましょう。
 買主の価値観も様々で、買主にアプローチするのは不動産会社であって売主ではありません。思わぬ部分に価値を見出してくれることもあるので、どんな小さなことでもいいので、どんどん、不動産会社の営業マンに情報提供していきましょう。
 耐震設計なんて当たり前と思っていても、耐震の基準内容は年々変わってきます。思わぬ安心設計になっていて、証明書などが付いていれば、査定の額自体に影響してくることもあり得ます。

Copyright 2013-2024 不動産を査定する.jp