2016-12-05
不動産査定 | 収益還元法 | 直接還元法 | DCF法 | 収益
不動産査定の方法のひとつに収益還元法があります。
これは、不動産を利用することで得られる利益によって価値を決めるもので、具体的には直接還元法とDCF法の二種類があります。
その他の方法としては、原価法と取引事例比較法があります。
不動産査定の用語を知りたい「収益還元法」とは
1,不動産鑑定評価について
2,鑑定評価の手法としての収益還元法
3,直接還元法とDCF法
4,不動産査定のその他の方法
1,不動産鑑定評価について
不動産の価格は不動産査定によって決定しますが、その前に、そもそも不動産にはどのような価値があるのかを知らなければ、不動産に価値をつけることはできません。
不動産の価値を決める基準としては、その不動産に対して人々が認める「効用」、つまり、日常生活や経済活動などにおける有用性がどのくらいあるのか、という要素があります。
次に、その不動産の「相対的希少性」、つまり、需要に対する供給の有限性がどの程度なのか、という基準があります。
最後に「有効需要」、これは、市場における買い手がどのくらいいて、その購買力がどれだけ裏づけされるのか、という基準です。
そして、不動産の経済価値は、基本的にこれら三者に影響を与える自然的、社会的、経済的、および行政的な要因、これを価格形成要因と呼びますが、これらの要因の相互作用によって決定されることになります。
2,鑑定評価の手法としての収益還元法
さて、不動産の価値を決定する不動産査定の具体的な方法のひとつとして、収益還元法というものがあります。
これは、対象の不動産を賃貸物件として貸し出すと仮定して、そうした場合に将来どのくらいの価値を生み出すことになるのかを計る方法です。
たとえば、ある不動産が一年間で100万円の純利益を生み出すとしたときの不動産の収益価格は、利回りが年に5パーセントだとすると、100万円に0.05を割った、2,000万円という計算になります。
つまり、この2,000万円という価格が、この不動産の収益還元法における価値ということになります。
言い換えると、金利が5パーセントと仮定し、利息だけで50万円を受け取りたい場合、必要な預金の総額は50万円に0.05を割った1,000万円が必要になりますが、これと同じような考え方で、価値を決定するわけです。
3,直接還元法とDCF法
収益還元法における価値基準となる、収益価格を求めるための方法として、直接還元法とDCF法の二種類があります。
直接還元法とは、一期間の純収益を還元利回りによって還元するもので、DCF法とは、正確にはDiscounted Cash Flow法と言い、連続する複数の期間に発生する純利益、および復帰価格について、その発生時期に応じて現在価値に割り引き、それぞれを合計する方法です。
この二つの方法については、どちらに優劣があるというわけではなく、収集可能な資料の範囲や、対象不動産の類型、依頼目的に即して適切に選択することが必要となります。
たとえば、証券化対象不動産の鑑定評価を行なう場合は、DCF法を適用する必要があります。
ちなみに、収益還元法はその考え方から、賃貸用不動産に向いた手法ですが、賃貸以外の事業の用に供する不動産の価格を求める場合にも特に有効です。
4,不動産査定のその他の方法
収益還元法は、不動産を利用することで得られる収益に着目した方法ですが、それ以外にも不動産査定を行なう方法があります。
ひとつは原価法と呼ばれるもので、これは対象不動産にどれほどの費用が投じられたかで価値を判断します。
つまり、価格時点において、もう一度不動産を作り直したらいくらになるか、という価格のことです。
これには、不動産について直接的に再調達原価を求める直接法と、対象不動産と類似の不動産から間接的に再調達原価を求める間接法があります。
もうひとつは取引事例比較法で、これは、まず多数の取引事例を収集して適切な事例の選択を行い、必要に応じて事情補正や時点修正を行い、かつ、地域要因の比較や個別要因の比較を行って求められた価格を比較したうえで、対象不動産の価値を求める手法です。
ちなみに、原価法で求められた価格を積算価格、取引事例比較法で求められた価格を比準価格と言います。