2017-03-30
不動産査定 | 路線価方式 | 倍率方式 | 路線価 | 評価倍率
亡くなった親が残した不動産を相続したものの、相続税を支払えるほどの現金が手元にないという場合は、その不動産を売却して納税資金を作るのがよいです。
ただし、故人の死から10ヶ月以内に税金を納める必要がありますので、注意しなくてはなりません。
相続不動産を売却して相続税を支払う
1,人の死と同時に相続が開始します
2,いくら位の税金を支払うことになるのか
3,相続税が支払えない時は
4,相続税には納付期限があります
1,人の死と同時に相続が開始します
人が亡くなった瞬間に、亡くなった人に帰属していた全ての権利と義務が自動的に相続人に引き継がれるというのが法律の考え方です。
具体的な相続手続きを取らなければ遺産の権利は移らないものと思い込んでいる人が少なくありませんが、それは大きな間違いです。
なぜかというと、死者はいかなる権利を持つことも許されない存在であるからです。亡くなった瞬間に、全ての権利がその人から離れていきますが、権利を宙ぶらりんにしておくわけにはいきません。
そこで、遺言書等がない限り、故人の死と同時にそれを受け継ぐ立場にある者に自動的に権利が移ってゆくとされています。
借金が残されていた場合は話が変わってきますが、現金や不動産が残されていた場合は喜んで受け取る人が多いです。人が亡くなっているわけですから「喜んで」という言葉は語弊があるかもしれませんが、労働の対価でも何でもない資産が一方的に入ってくるのですから、嬉しく感じるのはある意味で当たり前のことです。ただし、遺産額が基礎控除額を超えている場合は、相続税を支払う義務が生じます。
2,いくら位の税金を支払うことになるのか
いくら位の税金を支払うことになるかを知りたがる人が多いですが、それはケースバイケースです。わかりやすくするために、ここでは残されていた遺産が故人が住んでいた自宅だけで、その評価額が5000万円だったという設定にします。
そして、その遺産を引き継ぐのは、既に成人している故人の子1人ということにします。この場合の基礎控除額は600万円になりますので、正味の遺産額は4400万円になります。20%の税率と200万円の控除額が適用されますので、支払う相続税の金額は830万円ということになります。
ただし、自宅をいくらと評価するかで税金の額が大きく変わってくることになります。自宅の価値を評価するためには路線価方式や倍率方式を使って計算する必要があります。路線価や評価倍率がわかっていれば素人でも計算することができると言う人もいますが、とても複雑な計算ですので、税理士などに任せてしまうのが賢明です。
税理士に任せてしまえば、自分で路線価や評価倍率を調べる必要がありませんし、路線価方式や倍率方式のことを勉強する必要もありません。
3,相続税が支払えない時は
830万円という高額の税金をポンと支払えるという人はそう多くありません。実際には、相続した不動産を売却しないと税金を支払えないという人が大半です。
ただし、税金を計算する際の評価額は市場価格よりも3割方安くなっていますので、市場価格に近い値段で家を売却することができれば、税金を支払っても約6000万円が手元に残る計算になります。実際の売却価格がいくらだったかで納税額が変わることはありませんので、不動産査定をたくさん受けて、高値売却を目指すのが得策です。
何軒もの不動産業者を自宅に呼んでいる暇はないという人は、インターネット上にある不動産査定サイトを利用するとよいです。そうすれば家を高く売ってくれる業者を、簡単に見つけ出すことができます。
ちなみに、税金を節約するために生前贈与をしておこうと考える人がたまにいますが、贈与税の税率はとても高いのでやり方を間違えるとかえって損になってしまいます。贈与税を1円も支払いたくないのであれば、数十年計画で少しずつ生前贈与を実行していく必要があります。
4,相続税には納付期限があります
相続税の納付は故人の死から10ヶ月以内に行わなくてはならない決まりになっています。10ヶ月以内に相続税を支払えない場合は、ペナルティが課せられることになっています。平たく言うと、余分な税金を取られてしまうことになりますので、注意する必要があります。
そのような事態に陥りたくないのであれば、物件買取サービスや売却保証システムがある不動産業者と媒介契約を結ぶのが得策です。売りに出した不動産が、特定の期限までに必ず売れるという保証は全くありません。
納付期限ギリギリになってから慌てたくないのであれば、売れない時には不動産業者に買い取ってもらえる契約にしておく方がよいです。不動産業者の買取価格は市場相場より低くなっていますが、課税評価額程度の価格で買い取ってもらうことができますので、大きな損が出る心配はありません。