2018-02-26
不動産売却 | 相続 | 税金 | 申告期限 | 税制優遇措置
父母が所有する不動産を相続した場合、不動産売却の際には、所得税などの税金を支払わなければなりません。
そのほかにも消費税や印紙税なども必要となるため、事前に整理しておかないと思わぬ誤算となることもあります。
忘れや漏れがないため専門家に相談しながらに準備しておくことが大切です。
もくじ
1.相続税の申告期限は10ヵ月以内
2.不動産所得期間によって譲渡所得にかかる所得税が変化
3.土地の売買ではなく不動産会社の仲介手数料にかかる消費税
4.期限付きで軽減措置が設けられている印紙税
1.相続税の申告期限は10ヵ月以内
父母から不動産を引き継いだ場合は、その額に応じて相続税を支払う義務が生じます。不労所得については納税率も高いものとなっているので、棚ぼたと喜んでばかりはいられません。
税金の申告は父母が死亡したことを知った翌日から10ヵ月以内となっているので、葬儀やその後のことでバタバタしていると忘れてしまうこともあるため注意が必要です。
不動産売却によって譲渡益が発生すると譲渡所得税も課税されるため、税金を二重取りされているように思えます。
しかし、申告期限翌日から3年以内に売却すればかかる税金の一定額を取得費に加算できるという所得費加算の特例が認められています。
仕組みを知らなければ損をしてしまうこともあるため、税理士や弁護士などにアドバイスを受けておくことが大切です。
少なくとも税の申告期限は10ヵ月以内、税制優遇措置は3年以内の売却が必要ということを覚えておきましょう。
2.不動産所得期間によって譲渡所得にかかる所得税が変化
父母が不動産を残して亡くなった場合、引き継がれた不動産を売却することによって譲渡益が発生すると、所得した額に応じて所得税や住民税が加算されることになります。
それぞれの税率は不動産所有期間によって変化するものであり、海外に所有する土地や家屋も課税対象となるので注意が必要です。
譲渡益で得た収入全てに課税されるわけではなく、取得に必要となった購入費用や仲介費などの一定額は控除されたうえで課税されることになっており、これを課税譲渡所得といいます。
また、不動産を所有していた期間が5年以上か以下かによって譲渡所得が短期、長期に区別され、短期譲渡所得の場合は、所得税30%、住民税9%、長期譲渡所得の場合は、所得税15%、住民税5%が加算されることになります。いずれにせよ、不動産売却をした際には、譲渡益に対して税金を支払う必要があるため、確定申告を忘れないようにしましょう。
3.土地の売買ではなく不動産会社の仲介手数料にかかる消費税
基本的に土地の売買に関しては消費税はかかりません。これは、父母が残した実感の土地や建物が事業目的ではないという理由によるものです。しかし、売却する場合には個人間で売買交渉をするのは難しいため、ほとんどの場合が不動産業者などを活用して行うこととなります。
この際、不動産業者には仲介手数料を支払うことになりますが、この仲介手数料には消費税が加算されることになっています。
仲介手数料には、売買価格によって上限額が決められており、消費税8%を含めた上限は、売買価格が200万円以下のもので5.4%、200万円を超えて400万円以下のもので4.32%、400万円を超えるもので3.24%となっています。例えば、500万円の不動産を売却する場合の仲介手数料は、500万円をそれぞれ200万円以下の部分から400万円を超える部分に分けて計算したものを合計することとなります。
具体的には、200万円×0.054+200万円×0.0432+100万円×0.0324となり、合計の22.68万円が消費税込みの仲介手数料となります。
4.期限付きで軽減措置が設けられている印紙税
相続した不動産売却にかかる経費には所得税や仲介手数料にかかる消費税などのほか、印紙税も必要となります。
不動産に限定されるものではなく、1万円を超える売買誓約書には記載金額に応じて収入印紙を貼り付けなければならないことになっています。この貼られた印紙が納税の証となり、印紙を貼り付けることで印紙税を納入したということになるのです。
1万円未満の売買取引では印紙の貼り付けは免除となり、非課税扱いとなります。不動産売買において1万円未満の物件は基本的にあり得ないため、売買契約では必ず印紙税を納税する必要があると言えるでしょう。
不動産売買については、平成30年3月31日までの間は、軽減措置が設けられており、売買契約書の記載金額に応じて200円~480,000円に軽減されることになっています。例えば、1,000万円の不動産を売却する場合は、本来ならば10,000円となる印紙税額が5,000円に軽減されるということになります。