相続税の支払いが間に合わない場合の延納制度とは?

 2018-12-31   延納 | 相続税 | 不動産 | マンション | 戸建て
 2015年には相続税法の大幅な改正がありました。改正内容は多岐にわたりますが、サラリーマンをはじめとする一般庶民にとって影響が及ぶような内容も盛り込まれていて、相続税を納付しなければならない対象が増えたことがひとつに挙げられます。
 その結果として相続税の納付期限内に支払いができないという事態も想定されるようになっていますので、延納制度などの例外的な措置の存在やその手続きについて、あらかじめ知識を得ておく必要があります。


もくじ
1.2015年の相続税法の改正で自宅だから大丈夫が通じない!?
2.基本は10か月以内に現金一括納付
3.相続税の延納制度とは?
4.延納しても利子税があるので要注意


1.2015年の相続税法の改正で自宅だから大丈夫が通じない!?
 家族が亡くなるなどしてその遺産を相続すれば相続税を支払うのが常識です。しかしこれまでの法律の規定では相当の資産家でなければ実際には納税の必要がありませんでした。
 これは遺産にかかる基礎控除が引き下げられたためですが、改正後は一般的なサラリーマンであっても課税対象となるケースが増えています。特に遺産のなかでも現金や預貯金が占める割合が少なく、不動産などの他の資産が多い場合には要注意です。
 たとえ不動産が自宅だけの場合であっても例外ではなく、地価が高い良好な立地の一戸建て住宅やマンションであれば、その評価額が手元の現金や預貯金の金額をはるかに超過してしまうような事態も想定されます。その際には相続税の支払いも待ったなしです。


2.基本は10か月以内に現金一括納付
 法律の規定によれば、被相続人が亡くなったことを知った日から10か月以内という納付期限内に、納税義務がある人は所轄の税務署に相続税の申告と納税をしなければならないことになっています。
 10か月とはいってもその間には葬儀や法事などの儀式はもちろんのこと、相続人全員が集まって遺産分割協議をしたり、遺産にあたる一戸建てやマンションの登記簿などの必要書類を収集し、評価額を計算したりといった作業をしなければなりませんので、時間的な余裕はあまりありません。しかも国税の納付は現金で一括してというのが原則ですので、たとえ複雑な評価額の計算や申告書の作成はできたとしても、税金を支払う段階で大きな困難に直面してしまいます。


3.相続税の延納制度とは?
 このように一戸建て住宅やマンションを相続したものの、現金や預貯金などの遺産が少なく、納付期限に現金一括で相続税の納付が困難な場合に検討したいのが延納とよばれる制度です。
 相続税の延納は、平たくいえば本来は一括で支払うべき税金を分割払いにすることができる制度をいいます。この延納を行うためにはいくつか条件があります。
 税額が10万円を超え、期限金納付が困難な事情があり、税額に見合う担保が提供でき、これらの事柄を納付期限までに税務署に申し出ることがその条件です。
 したがって一戸建て住宅やマンションのような高額な不動産であれば、担保としての価値が十分に認められますので、所定の手続きができれば延納も可能です。


4.延納しても利子税があるので要注意
 この延納制度を使って相続税を分割払いするにあたっては、利子税の存在に注意する必要があります。利子税というのはその名前のとおり、本来の納付期限から国税の納付が遅れた場合に付帯して支払うべき税金をいいます。
 これは納税せずにその金額を銀行に預金した場合に利子が発生することを考慮して、本来の納付期限までに納税した人との公平性を図るために採用されている制度です。この利子税は所得税や法人税などの他の税金でもあり得ますが、逆に相続税も例外にはなりません。
 延納することに決まった納税額を元金として、その金額と期間に応じた利子税もあわせて支払うことになります。したがって延納制度には納付時期を遅らせる効果はあっても、金額的に得をする効果まではありません。

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