不動産売却では売却額を決めるのに不動産査定は強い味方ですが、同時に譲渡にかかる費用や税金の計算式は所有期間などの違いで人によって異なるため、経験豊富な不動産会社のスタッフはどんな費用や支出があって、いくら手元に残るかの計算でも頼りになります。 売却にあたっての費用や税金は、所有者個々の事情で異なるため、いくらで売れたらいくら手元に残るかの手取り金額についても経験豊富な不動産会社の担当者の助言が有効です。 不動産査定は、最低でも3社・多い場合は5社以上でも有効ですが、ネットなどのオンラインを利用すれば、住所や広さなど一度登録すれば複数の会社の助言が受けられます。 もくじ 1.譲渡所得とは? 2.譲渡所得に掛かる所得税と住民税は所有期間で税率が変わる 3.売却した日が所有期間ではない。売却した日の翌年の1月1日 4.3000万円特別控除とは? 1.譲渡所得とは? 税金の計算は、会社か会社以外の個人で異なります。不動産を売った場合、個人の税金は所得税と住民税の二つがかかるので、これを総称して譲渡税といいます。 一般的な個人の所得は、累進課税といって高額所得者ほど高い税率ですが、不動産売却は分離課税の譲渡所得といって、金額の大小にかかわらず控除や税率が決まります。これは、臨時的で一度きりの収入に対して金額が大きいというだけで高い税率をかけるのは合理的でないからです。 譲渡所得とは、収入金額ではなく利益のことを言い、買った金額と打った金額を比較してプラスの場合は所得、マイナスの場合は譲渡損といいます。 譲渡所得は分離課税なので、所得に対して税金の計算をする一方、損失については他の所得から原則として差し引くことはできません。 2.譲渡所得に掛かる所得税と住民税は所有期間で税率が変わる 税金には多くの種類がありますが、2019年10月に10%に上がり、市民生活に最も身近な消費税は平成2年から導入されたものです。時代のニーズに沿って新設や廃止されるすべての税の種類を書き上げることはできませんが、税金は国が管轄する国税と、地方自治体がかな渇する地方税のいずれかに区分することができます。 個人の所得には国税の所得税と、地方税の住民税がかかりますが、譲渡所得は5年を境に短期と長期に分けて、短期間での値上がり益には所得税(+復興特別所得税)30.63%、住民税9%の合計39.63%、長期譲渡所得には所得税(+復興特別所得税)15.315%、住民税5%の合計20.315%の譲渡税がかかります。 譲渡税は、所有期間の違いで適用税率がほぼ二倍になるので注意が必要です。 確定申告は、譲渡の翌年3月15日までですが、税金をいつ払うかによって、手元にお金を残さなければいけません。所得税は3月15日、住民税は住んでいる場所の地方自治体によって変わることもありますが、多くの場合6月が第1回で、年4回に分けて納付します。 3.売却した日が所有期間ではない。売却した日の翌年の1月1日 不動産売却の売り出し価格は不動産査定を参考にして決めます。不動産会社は、成約した時に仲介手数料を支払うので、不動産査定自体は無料でサービスしてくれる会社も少なくありません。 より多くの不動産査定を比較することで、精度を高めることができますが、その場合、一番高い会社と最低額の会社を除く、他の査定結果を使うと極端な例外は除外できるので効率的です。 いくらで売れたら手取り金額がいくらになるかの計算式は、売却額-仲介料-納税額で計算できますが、税額の計算式は人それぞれなので、シミュレーションが必要です。 シミュレーションでは、手取り金額も大切ですが、仲介手数料は売買の代金清算=引渡し時に同時、税金をいつ払うかは所得税と住民税が異なるほか、所得税は金融機関からの振り替えを選択すると4月中旬に、1か月繰り延べることができます。 4.3000万円特別控除とは? 税額のシミュレーションで、納税額を大きく左右するのは短期譲渡所得か長期譲渡所得化の税率の違いです。もしも売却を検討している時点でぎりぎり短期譲渡に該当してしまう場合、契約と引渡しをずらすことで長期譲渡所得にすることが可能です。譲渡の時期は、契約と引渡しのいずれか選択することができます。 せっかくいい買い手が見つかっても時期を先送りにするとチャンスを逃してしまうので、契約だけして引渡しを翌年年明けにすれば、買い手にとっても物件を確保できるし、売り手は節税ができます。 売り手の節税、もう一つ大きいのが居住用財産の3000万円特別控除です。売却した物件が自宅の場合、売却益から3000万円を差し引くことができるので、税金は大きく節約できます。 ただし、居住用財産の特別控除を適用した場合、その後に住宅を新たに購入しても住宅ローン控除が適用できなくなります。 今払う税を抑えるか、将来の節税方法を残しておくか、納税をいつ払うかの違いにも注目します。