不動産売却をする場合に、売却価格に大きく影響するのが査定によって計算された金額です。不動産査定に使用できる方法には複数の種類があり、それぞれ土地や建物の利用形態によって、使用できる計算方法が異なります。 自用の不動産の価値を計算するための方法や、事業のために利用されている不動産の計算方法がそれぞれあります。事業用のものは、自用の不動産とは異なり毎年一定の収益を生み出していることから、特別な方法で計算する必要があります。 もくじ 1.賃貸運営等収益を上げている不動産の場合の査定方法 2.収益価格の求め方「直接還元法」 3.収益価格の求め方「DCF法」 4.還元利回り(キャップレート)って何? 1.賃貸運営等収益を上げている不動産の場合の査定方法 土地や建物などの不動産の価値は、使用方法によっても資産としての価値が異なります。自用の不動産として所有している土地や建物と比較して、賃貸運営など毎年一定の収益を生み出している土地や建物はそうした事実も考慮して、価値を計算する必要があります。 不動産売却をするための査定をする際にも収益を加味して計算することで、より正確な不動産査定価格を計算することができます。収益還元法は、対象となる不動産から今後生じると予測できる純収益を現在価値で割り引いて計算する方法です。 収益還元法は賃貸用に使用している不動産の価値を測定するためによく使用されている方法で、賃貸以外の方法で事業に使用されている不動産にも、使用されている計算方法です。 2.収益価格の求め方「直接還元法」 直接還元法は特定期間における純収益を還元利回りで割った金額に、100を乗じて計算する方法で、収益還元価格を求めることができます。通常は一年間を基本単位として計算されます。 例えば還元利回りが10パーセントで、1年間の収入が500万円の場合には、まず、総収入から収入を得るのに支出した各所の費用の金額を控除しますが、不動産の維持管理費や修繕費が総収入から控除される費用です。 上記のケースで費用の総額が100万円の場合には、純利益の金額は400万円になります。計算された純利益の金額に還元利回りを乗じた場合、上記のケースでは、4000万円が直接還元法で計算した収益還元価格になります。この計算方法は不動産を長期間所有する場合に、向いている方法です。 3.収益価格の求め方「DCF法」 収益価格にはDCF法という計算方法もあります。DCFとは、Discounted Cash Flowの頭文字を取った言葉で、日本語に訳すと割引現在価値法という意味です。対象となる不動産を所有していた期間に獲得された純利益の額と、その不動産を売却した場合に得られる金額を合計して、現在価値に割り引いて計算する方法です。 不動産査定にもよく使用されている方法で、不動産売却価格にも大きく影響します。直接還元法で計算するよりも予測の正確性が向上していますが、計算の仕組みがさらに難しいものになっています。不動産査定をする場合には、DCF法と直接還元法の両方の方法で計算することもあり、より正確に資産の価値を測定することができます。 4.還元利回り(キャップレート)って何? 還元利回りは英語でキャットプレートとも呼ばれるもので、収益還元法を使用して不動産査定を行う場合に使用されている割合です。直接還元法で計算をする場合にも、不動産から産出された一定期間における収益の合計額を、キャットプレートで計算して具体的な数字を計算します。この場合のキャットプレートは、当該不動産を利用することで得られる利回りを考慮して選ばれます。還元利回りを決定する場合に参考にされるのは、対象となる不動産がある地域内にある、似たような用途で使用されている同じ大きさの不動産の利回りです。キャットプレートの割合によって、計算される収益還元法の金額も大きく異なる場合があります。キャットプレートの代わりに想定利回りが使用されることも一般的です。