★「住宅資金特別控除の特例」とは マイホームの取得資金の贈与を受ける場合に限り、親の年齢制限を撤廃して65歳未満の親からの贈与でも相続時精算課税を適用できることとしたうえ、2500万円の非課税枠に1000万円上乗せして非課税枠を3500万円とする「住宅資金特別控除の特例」があります(平成19年12月31日までの時限立法) 子供に3500万円もの住宅式の援助をしてやれる親というのは、なかなかいないかも知れませんが、この特例と通常の相続時精算課税との最大の違いは、親の年齢制限がないということです。 通常の相続時精算課税は親の年齢が65歳以上となっているので、使い勝手が今一つですが、住宅取得資金贈与に関する相続時精算課税は親の年齢が関係ないので、相続税がかからない普通の人たちにとっては大変使いやすい制度であるといえます。 相続時精算課税制度の住宅資金特別控除の対象となる住宅家屋等の範囲は以下のように決まっています。なお、一定の増改築も適用になりますし、以下の住宅家屋とともに取得する敷地も適用になります。 ・床面積(区分所有建物は専有部分の床面積)が50㎡以上の家屋 ・床面積の1/2以上がもっぱら居住用に供されている事 ・日本国内に所在すること ・中古住宅の場合は、次のいずれかの要件をみたしていること 【1】 耐火建築物の場合は築25年以内 【2】 非耐火建築物の場合は築20年以内 【3】 上記【1】、【2】以外の場合で新耐震基準を満たしている場合 ★相続時精算課税制度と一般贈与との事例比較 【事例】 甲氏(63歳)の財産総額は相続税評価額で5,000万円で、退職して年金生活に入るため今後、財産が増加することは無いものとする。 甲氏には配偶者乙があり、子供は3人、長男A(35歳)、長女B(32歳)、二男C(30歳)。 甲氏は、長男Aが自己の居住用のマンション(占有面積70㎡)を購入するとういうので、頭金として1200万円を資金援助することとした。 その際、一般贈与にしていた場合と、相続時精算課税(住宅資金特別控除の特例)を選択して贈与をし、7年後に相続が発生した場合の税額を比較したい。なお、相続発生時の甲氏の遺産は3800万円(5000万円-1200万円)とする 【税額計算】 【1】 一般贈与で1200万円を贈与する場合 <贈与時の贈与税> (1200万円-110万円)×50%-225万円=320万円 <相続発生時の相続税> ① 相続税の課税価格:3800万円 ② 相続税の基礎控除額:5000万円+1000万円×4人=9000万円 ③ ①<② 相続税の課税なし 【2】 相続時精算課税を選択して1200万円を贈与する場合 <相続時の贈与税>1200万円<3500万円 : 0円 <相続発生時の相続税> ① 相続税の課税価格:3800万円+1200万円=5000万円 ② 相続税の基礎控除額:5000万円+1000万円×4人=9000万円 ③ ①<② : 相続税の課税なし 相続時精算課税を選択していれば、上記【2】のように贈与財産は相続財産に合算されますが、合算しても、もともろ相続税の基礎控除額以下のため、相続税は課税されません。