住んですぐに引っ越した場合も自宅と言えるか?

 2014-11-26   3 | 000万円控除 | 短期譲渡 | 譲渡税 | 売却 | 事例
★住み始めてすぐに売却した時の3,000万円控除
 こんな相談を受けることがあります。
 「実は、現在住んでいるマンションは、3か月ほど前に購入して住み始めはばかりなのですが、運悪く私が勤めている会社の人事異動で、東京から大阪に転勤することになってしまいました。
 不動産屋さんに確認したところ、立地が良かったせいか、購入して間もないにも関わらず、購入した時よりも高い値段で売却できるとのことです。自宅の売却として3,000万円控除が適用できれば、税金はかからずに済むようですが、住み始めてすぐの売却ということで3,000万円控除が使えなければ、短期譲渡として39%の譲渡税が課税されると聞いています。
 3,000万円控除が適用できるのであれば、この際、売却してしまおうと思っているのですが、いかがでしょうか?」

 結論から言えば、このようなケースであっても、3,000万円控除を適用することが出来ます。
 3,000万円控除が適用できるかどうかには、居住期間は関係ありません。したがって、このように居住期間が短期間であったとしても、3,000万円控除の適用には問題ないわけです。

★3,000万円控除が適用できない場合とは?
 3,000万円控除が出来よう出来ないケースは、「この特例を受ける為のみの目的で入居したと認められる場合」や「一時的な目的で入居したと認められる場合」です。つまり、相談を受けた事例のような場合は、3,000万円控除を適用できることになるわけです。
 もっとも、このケースのように、購入してスグに売却した場合は、利益が出るより損失となるほうが多いと思います。
 損失が出た場合に、「売却して赤字になったのだから、税金は安くなるのではないか?」という質問を受けることが多いのですが、残念ながら、不動産を売却した場合の赤字は、他の不動産を売却した利益がある場合に、その利益と通算(相殺)できるだけで、他の所得とは通算できません。つまり、売却損は原則として切捨てとなってしまうので、所得税等が安くなるということはありません。
(所有期間が5年を超えるマイホームの売却の赤字で一定の要件を満たすものは、所得税が安くなる特例があります。)

★やむを得ず短期間で売却した時には?
短期間の居住でも利益が出るケースとして、つぎのような事例の場合はどのように取り扱われるのでしょうか?
「賃貸していた家が、ちょうど空き家となりました。今まで住んでいるところよりも通勤の便が良いので、この賃貸していた家に、引越ししたのですが、運悪く居住し始めて3か月目で、東京から大阪に転勤することになってしまいました。
 また、賃貸に出すのも面倒なので、売却してしまったのですが、もともとこの家の敷地は、20年ほど前に父親から相続した者なので、今回の売却で5,000万円ほどの利益が出ました。短期間とはいえ私が住んでいたわけですから、3,000万円の控除が受けられると思うのですが、どうでしょうか?」

 初めの事例で説明したように、3,000万円控除の適用には、居住期間は関係ありません。そこで、このような場合でも当然、3,000万円控除は適用できます。
 ただし、「この特例を受ける為のみの目的で入居したと認められる場合」は、3,000万円控除を適用できないとされています。この事例のようなケースは、課税当局から「この特例を受ける為のみの目的で入居したと認められる場合」に該当するのではないかとの疑いを掛けられやすいので、居住から売却に至った経緯を客観的に説明できるようにしておいた方が、良いでしょう。

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