離婚で財産分与した場合も譲渡税は課税される?

 2014-12-08   離婚 | 財産分与 | 慰謝料 | 自宅 | 譲渡税
★離婚後の財産分与と3,000万円控除
 「このたび、妻と協議離婚することになったのですが、離婚にあたっての条件として、夫婦で住んでいた自分名義の自宅マンションを、慰謝料として妻に財産分与することになりました。私は財産を渡すほうなので、税金の心配はないと思いますが、どうなんでしょう?」という相談を多く受け付けます。

 離婚の財産分与は、税務上はその財産分与した財産は時価により譲渡したものとされ、財産を分与した側に譲渡税が課税されることになっています。
 この話をすると、たいていの人が、「なんで財産をタダで渡すのに自分に税金がかかるのですか?タダで貰う方に、税金がかかるのではないのでしょうか?」と憤慨される方が多いです。
 離婚の財産分与というのは、離婚により生じた財産分与義務を履行するために行われるものであり、財産分与した結果、財産分与義務が消滅するという「経済的利益」を売却代金とする譲渡とすることになっています。
 もう少し分かりやすく説明すると、妻が手に入れた慰謝料と言う価値で、夫から不動産を買い取ったのと同じことだという訳です。

 時価が5,000万円で取得費が1,000万円の場合は、夫は「時価5,000万円で自宅マンションを妻に売却した」として譲渡税はかかってきます。一方、財産分与でマンションを取得した妻は、5,000万円で取得したものとして、次に妻が売却するときの取得費は5,000万円になるわけです。

<夫の譲渡税>
・課税譲渡所得:5,000万円-1,000万円-3,000万円=1,000万円
・譲渡税:1,000万円×14%=140万円
※計算の便宜上、減価償却費、譲渡費用は考慮していません。
※所有期間10年超の場合は、軽減税率が適用されます。

 それでは、相談事例のように、財産分与した財産が自宅だった場合は、3,000万円控除の特例は適用できるのでしょうか?
 「3,000万円控除は、配偶者、直系血族への譲渡の場合は適用されない」と説明しましたが、離婚に伴う財産分与は離婚後の譲渡であって、配偶者に対する譲渡ではないので、3,000万円控除は適用されるのです。

 なお、財産分与によりマンションを取得した妻には、贈与税が課税されるのではないかと心配する人がいますが、離婚後の財産分与には、原則として贈与税は課税されないことになっています。

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