2015-11-30
内緒 | 不動産売却 | 媒介契約 | 不動産会社 | 近所
不動産査定に伺うと良く売主から、「周辺の近所の人に気づかれないように売却したい。」といったニーズがよくあります。不動産の売却活動は、皆さんもご存じのように、戸建ての住宅であれば、ノボリと言われる旗を掲げて「販売中」とか「内見受付中」といった文言を乗せて広告します。また、周辺の電信柱や、掲示板などに掲載したり、ポスティングと言われる、近隣の住宅にチラシを配布したり、新聞の折り込みチラシの中に挟み込むこともあります。それ以外に、不動産会社のホームページや、ホームズやスーモ、Yahoo不動産などのポータルサイトなどで掲載する事があります。
つまり、周辺に住んでいるご近所さんには、ご自身の物件が売却予定であることが、周知されてしまうという事です。しかし、こういった営業活動をしないで、内緒で販売活動を依頼することは可能なのでしょうか?
◆「内緒でも可能です。」は要注意!
査定に来た不動産会社の中には、「近所に内緒で販売活動できますよ。」なんて、奇跡的なひと言を言ってくる不動産会社が稀にいます。しかしながら、要注意です。
営業活動なくして、不動産の売買が成約する事例はかなりの特例です。買主がふらっと、不動産の媒介契約をした不動産屋にやってきて、いきなり「こういう物件を探している」と言ってくるなんて、数ある不動産屋からその契約した不動産会社にやってきて、いきなり、数ある売却中の物件の中から、その売主の物件と同じ条件の物件を探しているなんて、ケースは聞いたことがありません。
ましてや、「相場以上の金額で成約させたい」なんて高く販売したいといったような要望は奇跡と言えます。
販売活動はいかにして、可能性を拡げるか、少しでも多くの潜在している買主候補を見いだせるかにかかっており、数多くのチャネルに、数多くの人に見てもらうかが肝心です。
媒介契約を行った不動産会社のセオリーとしては、まずは、全国の不動産会社にも販売活動を手伝ってもらうために、レインズという全ての不動産会社が閲覧することが出来る売却中の不動産物件リストに掲載します。また、近所の人、周辺区域の人が購入するケースが多いので、周辺の不動産会社に営業活動を行います。
そして、さらに周辺の人に認知してもらうために、各家のポストにチラシと言う形でポスティング活動、広告の投函を行い、週末の新聞に折り込みチラシと言う形で更に認知を行います。
また、周辺区域だけではなく、この地域に住みたいと考えている遠隔地に住む人向けにその不動産会社のホームページに掲載を行い、更に、不動産探しのポータルサイトであるYahoo不動産や、リクルートが運営するスーモや、ホームズといったサイトにも掲載を打診していきます。
これだけでも足りず、マンションですとなかなか難しいですが、戸建て住宅であれば、建物の前にノボリを掲げて、通行中の人の目にも入るようにします。
詳細な部分は割愛させていただき、販売活動のチャネルと言う観点で言えば、ここまでやって、やっと買主候補が出てくるという訳です。これでも基本中の基本です。
もし、不動産査定に来た不動産会社が、内緒で販売ができるという発言があった場合は、具体的にどういった販売活動をされるのかを確認する必要があります。素人でも理解できる、分かりやすい理由が無い限りは、媒介契約を取るための営業トークと言えます。契約後、売れないことを理由に、販売価格の値下げを交渉され、それでも売れずに、最後は認知を増やしましょうといった提案を受け、結局、内緒にはできず、しかも、安い金額で、かなりの期間を要して、売却が成立すると言う、踏んだり蹴ったりといったような結果になる可能性が高いです。
また、不動産会社が買取ってくれるケースもありますが、この場合、かなり販売価格のディスカウントを迫られます。買い取るリスクを言い訳に、安い金額で買取りネットワークや営業活動を駆使して、高い金額で売り、更に、買主から手数料を取るといった不動産会社だけが得するパターンなので、これも注意が必要です。
仲介手数料を貰うために、安易に値下げをせず、営業活動を努力するのが、本来の不動産仲介会社の仕事なのですから。