不動産の収用に伴う補償金の種類によって課税方法が違います。

★収用の場合の5つの補償金
 土地や建物を収容された場合は、その補償金について「代替資産の買換え」と「5,000万円控除」を選択適用できると説明しましたが、収用の場合の補償金は次に掲げる5種類に分かれており、譲渡所得として収用等の課税の特例が適用されるのは「対価補償金」とされているものだけです。主なものの区分と所得税の取り扱いは以下の通りです。

①対価補償金
 対価補償金は、譲渡所得の収入金額となるので、「代替資産の買換え」と「5,000万円控除」との選択適用となります。
 対価補償金とは、土地や借地権の買取りに対する補償金です。なお、建物や構築物、立竹木等は、移設を前提に、移転補償金として補償金が支払われる場合が多いのです。移設を前提にする補償金は本来、次の②に掲げる移転補償金に該当します。
 なお、土地の一部が収用される場合に、残地として残る部分が面積的に僅少になるなどして、その残地の価値が減少することがあります。このような場合の損失を補償するために、「残地補償金」が支払われますが、残地補償金は残った土地の価値の減少に対する補償金です。したがって、本来は次ページ④に掲げる「経費補償金」となりますが、対価補償金として取り扱うことが出来ます。
 また、他人の建物を賃借している人が、その建物が収用されたことにより、転居先の建物の賃借に要する権利や家賃の差額を補てんするためのものとして、「借家人保証人」を受け取った場合は、本来は資産の譲渡ではありませんが、対価補償金とみなして取り扱うこととされています。

②移転補償金
 移転補償金は、一時所得の総収入金額に算入されます。ただし、移転補償金の交付の目的に従って支出した場合は、その支出した部分の金額は総収入金額に算入されません。
 移転補償金を交付の目的に従って支出したかどうかの判定は、以下の通りです。
【1】移転補償金をその交付の基因となった資産の移転もしくは、移築または除却もしくは取壊しのための支出に充てた場合は、交付の目的に従って支出した場合に該当します。
【2】移転補償金を資産の取得のための支出または資産の改良その他の資本的支出に充てた場合は、その交付の目的に従って支出した場合に該当しません。

 移転補償金には、前述の①で説明した「対価補償金」との選択が認められている移転補償金や工作物等の補償金のほか、仮住居補償金や動産移転補償金、移転雑費があります。

③収益補償金
 収益補償金は、所得が減少することとなった場合のその所得補償に充てる為の補償金で、その補償金を貰う原因となった事業の種類に応じて、事業所得、不動産所得等の総収入金額に算入されます。
 家賃減収補償金や事業の休廃業等に伴う営業補償金等があります。
④経費補償金
 経費補償金は、店舗を閉鎖する期間の従業員の給与補償等経費を補てんするための補償金で、その補償金で、その補償金をもらう原因となった事業の種類に応じて、事業所得、不動産所得等の総収入金額に算入されます。
 解雇手当や休業手当等の補償金があります。
⑤その他の補償金
 その他の補償金については、その補償金の実態的内容に応じて課税関係を判断します。

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