不動産売却の契約時に売主が契約する売買契約書には、注意事項がたくさんあります。買主が決まって安心と思っているかもしれませんが、契約したからといって、まだまだ、安心はできません。売主さんに気を付けていただきたい契約事項を列挙してみました。 ・瑕疵担保責任とは? ・危険負担とは? ★瑕疵担保責任とは? 契約する際に説明をされる事項として、売主さんの「瑕疵担保責任」の話が出てきます。 法律に詳しくない一般の人には、なかなか、聞きなれない言葉です。簡単に言ってしまえば、「部屋の見えない欠陥(瑕疵)に関しては、売主さんが責任を負ってください。」といったものです。 マンションでは「雨漏り」、「給水排水設備」などのトラブルが該当します。もちろん、期間無制限にこの責任を負うわけではなく、期間は2、3か月が一般的です。(ちなみにこれ以外の細かいトラブルについては「設備表、物件状況報告書」といった書面で説明がなされます。これは、一般的に7日間の保証です。) ★危険負担とは? 契約書に必ず出てくるのが、「危険負担」という言葉です。 契約書を取り交わした日から引渡しをする日まで間がありますが、この間に何かの事情で部屋が喪失したり、損壊した場合についての負担に関しての取り決めを差します。 通常、直せる場合は売主さん側で修復して引き渡すことになっており、それを理由に買主さんがキャンセルすることはできないといった内容になっています。滅多に無い事ですが、思いもよらぬ地震や火事などで、契約後に引き渡しまでに損壊することも考えられます。 東日本大震災が発生した際に、実際に該当する事態が発生しました。売買契約をした後に、地震が来て、マンションの建物にクラック(ヒビ)が入ったケースです。 一般的には、売主さんの負担で直さなければならないように、感じますが、それは共用部分でした。共用部分はマンションの売買契約の対象物件ではないので、売主さんには、金銭的に負担は発生しませんでした。(管理組合に積み立ててある修繕積立金からの補修となりました。) ★契約時に持参するもの 契約書の内容は、できれば、事前に見せてもらっておきましょう。海外では、契約書作成は弁護士の仕事ですが、それは双方どちらかに優位な条文になっていないかどうかを確認しているためです。 日本の場合は決められた雛形を利用するのが一般的で、個人間取引の契約書に弁護士が介在することは、ほとんどありませんが、どちらにとっても有利不利が無いような形になっていると言えます。 契約当日に持っていくものは、仲介会社から案内がありますが、事前に知っておくべきです。 一般的には以下を持参するのが通例です。 ・実印 ・印鑑証明書 ・権利証(登記識別証明情報) ・本人確認資料 全ての書類がそろっていなければ、普通は契約ができません。特に権利証を無くしている人がたまにいますので、注意が必要です。早めに探しておきましょう。 ★契約後にすること 契約後には、売主さんがすべきことはありません。仲介会社に任せておけば買主さんの住宅ローンにおける「本審査」が通過した旨の通知が来ることでしょう。住宅ローンの本審査が完了した後に、引渡しの日を決めます。 引渡しの日というのは、残代金が振り込まれるときです。ローンを利用している人にとっては、引渡し日が元の家のローンを完済する日でもあるため、日にちが決まれば、金融機関へしっかり通知しなくてはいけません。 なぜ記入期間へ通知するのかと言うと、日にちによって残債が確定するからで、1日ずれると金額が変わってきてしまいます。 ですので、双方にとって、無理のない日付で設定することになります。金融機関とのやり取りは仲介会社ではなく、売主さんご本人か抵当権抹消をする司法書士が行います。士おもに、金額の確定と書類のやり取りとなりますが、用意するものはありません。 その他、引越しをして住所移転を済ませている人は、別途住所移転の登記が必要になります。どちらも登記にかんすることですので、司法書士がやる業務で、特に心配するようなことはありません。 ★決済(引渡しに関して) 個人、法人の取引に売主さん、買主さん、仲介会社、司法書士、金融機関が立ち会います。場合によっては、売主さんが借りていた金融機関の担当者が来ることもあります。 そのような中で、書類をすべて確認し、多額のお金を振り込むのですが、書類に不備があると、その日の決済ができない場合があります。 これを不動産業界用語で「ジャンプ」と言いますが、他の日に変更されるという意味です。当日まで様々な関係者を巻き込んで絵段取りをした仲介会社にとっては緊張の瞬間であり、かつ仲介手数料をもらう瞬間でもあります。中には、契約時に50%をもらうような仲介会社もあるので、これは、査定時の媒介契約をする際に、しっかり手数料の支払うタイミングは確認しておくと良いでしょう。