事例で考える!こんな場合も贈与とされる?

★子供名義の預金は誰のもの?
「このたび30歳になる長男が結婚しまして、新居として3,000万円のマンションを購入したいと言っています。ここ10年ほど、毎年、贈与税がかからない範囲で、長男名義で預金してきたお金が800万円ほどあるので、このお金を頭金として長男に渡してやりたいと思っています。このお金を長男に渡しても当然、税金(贈与税)は関係ないですよね?」
 といった相談をされる人が結構いらっしゃいます(ちなみに、贈与税の基礎控除は年間110万円です)。実は、この相談が一番、回答が難しく、また、税務署とトラブルになりやすいケースなのです。

 そもそも贈与とは、贈与する側ともらう側とお互いに了解して成立する法律行為です。税務署とトラブルになる一番の原因は、贈与した側が一方的に贈与したというだけで、貰った側が本当に贈与を受けていたのかどうか疑問なのです。
 この相談をしてきた人に、「それでは、贈与してもらった長男さんはそのお金を自分で自由に使える状態だったのですね。当然、通帳や印鑑も受贈者である長男さんが持っていたのですね。」と聞くと、「いや、通帳と印鑑を長男に渡すとムダ遣いをするので、私が保管しています。そもそも、長男名義で預金していたことを長男には伝えていませんでしたし、もともと、長男が将来、家でも買おうと言う時にこの通帳を渡してやろうと思って預金していたのです。」という返事が返ってきます。

 実は、このようなケースが非常に多いのですが、これでは、贈与契約が実行されていたとはいえません。贈与とは「あげました」、「もらいました」という双方契約なので、貰った人が貰ったのを自由に使用できない、まして、貰っていたことさえ、知らなかったというのであれば、当然、贈与が実行されていたことにはなりません。
 このような場合は、マンションを購入する際に800万円を一度に贈与したものと税務署に認定され、贈与税が課税されることになりかねないのです。税務署とのトラブルを避けたいのであれば、この800万円は親のものだったと認めて、「相続時精算課税」または、「受託取得資金に係る相続時精算課税の特例」を利用するのが良いでしょう。そうすれば、贈与税の心配は必要ありません。

★子供の将来のために証拠を残そう
 子供の将来のために、贈与税が課税されないよう毎年110万円ずつ贈与を続けて何百万円になるというまとまったお金になった時に、そのお金を子供に渡して不動産などを購入すると、税務署から「このお金は一度に贈与したのではないか」という疑いを受けます。これに対して、そうではないことを立証するのは非常に大変です。
 では、税務署とのトラブルを避けるためには、どうすればよいのでしょうか?そのためには、ともかく贈与をしたいという証拠を残すことが大事です。贈与をしたいという証拠の残し方は、ズバリ「受贈者名義の預金通帳にお金を振り込み、その日付で贈与契約書を作成する」ことです。
 贈与をする場合は、贈与の事実が客観的に残るように「受贈者の預金通帳に贈与金額を振り込む」、そして、お互いに合意していたことを示すために、「贈与契約書を作成して、あげる側、もらう側が双方了解して署名、押印し、その日付を記載しておく(通帳への振込日を贈与契約書の作成日とするのが望ましい)」と言った事を、きちんと行う事です。

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