2014-02-16
鑑定評価の基本的事項である価格時点の一つ。
価格判定の基準日を鑑定評価を行った日(価格時点)より過去とした時点。
この場合の過去とは、1日前でも過去と言うか、1か月前までか、1年前までか、基準に明確な規定はない。
常識的に考えて、1日前、1週間前なら過去時点とするには及ばないであろう。
いずれにしろ、対象不動産及びその周辺環境等の変化の状況や実情を考慮して判断すべきである。
過去時点の鑑定評価は、対象不動産の確認が可能であり、かつ、鑑定評価に必要な確認資料、要因資料及び事例資料の収集が可能であることが前提であり、価格時点当時の諸資料が必要となる。
したがって、既に建物が存在しない場合や、土地区画整理事業の従前地等で、価格時点当時の状態が確認できず、地積、形状、接面道路、地域概況等の諸資料が揃わないときは、対象不動産の確認、価格形成要因の把握、分析、際有効使用の判定等が困難であるので、このような鑑定評価は行うべきではない。
過去時点の鑑定評価に当たっては以下の点に留意する。①事情補正や還元利回りの査定に当たっては、当時の経済状況、不動産市況等に留意する。②時点修正に当たっては、最近の事例から逆進的に時点修正を行うべきではない。③土地の時点修正率の把握に当たって公示価格等の変動は参考となるが、取引価格の推移を表すものではないので、取引事例による時系列的な分析を行うべきである。④地域要因及び個別的要因の比較は価格時点での要因比較を行う。⑤公法上の規制は価格時点当時のものとする。したがって、土地残余法の適用における想定建物は価格時点当時の容積率等の公的規制を考慮する。