賃料収入が1,000万円を超えると消費税の課税事業者になる

 2014-10-27   賃料収入 | 不動産 | 消費税 | 事例 | 簡易課税
★賃料収入にも課税・非課税の区分がある
 モノを販売した場合やサービスを提供した場合には、その代金に対して消費税がかかります。では、不動産を賃貸して家賃や地代といった賃料を貰った場合はどうなるのでしょうか?賃料収入は、次のように消費税が課税されるものと、非課税となるものに分かれます。
【事例1 建物】
アパート等の住居としての賃貸の場合、消費税は非課税
【事例2 建物】
店舗や事務所など住居以外の賃貸の場合、消費税は課税
【事例3 土地】
土地貸し(貸地)の場合は、消費税は非課税
【事例4 土地】
駐車場貸しの場合は、消費税は課税

消費税の課税対象となる賃貸料などの売り上げの事を「課税売上」というのですが、年間の課税売上高が1,000万円を超えると、消費税の課税事業者となり、消費税を納税することになります(住宅家賃は非課税なので、アパート等の受託家賃しかない人は関係ありません)。ただし、課税売上高が1,000万円を超えた場合に課税事業者となるのは2年後です。
 たとえば、平成26年に課税売上高が1,000万円を超えた場合、課税事業者となるのは2年後の平成28年です。そして、課税事業者として消費税の計算をする金額も2年後の平成28年の課税売上高に対して計算し、納税をします。つまり、1,000万円を超えた年は、消費税の課税事業者となるかどうかを判定しているだけと言えます。

★消費税には原則課税と簡易課税がある
 消費税額の計算方法には「原則課税」と「簡易課税」があります。不動産賃貸の場合、まず原則課税では次のように計算します。

賃料収入にかかる消費税 - 賃貸経費にかかる消費税 = 納付する消費税

 上記の算式からわかるように、納付する消費税は賃料収入はにかかる消費税(8%)全部ではなく、その年の賃貸経費に含まれていた消費税を差し引いた金額を納めることになります。
 なお、消費税がかかっている主な経費(「課税仕入」といいます)には、水道光熱費、修理代、管理費、支払手数料、賃貸ビルの建築費などがあり、逆に消費税がかかっていない主な経費(非課税仕入)は、租税公課、減価償却費、借入金の支払利息、保険料等です。
 賃貸ビルの建築と言った大きな支出が無い限りは、通常は賃貸経費にかかる消費税はわずかですから、賃料収入の8%まるまる全部に近い消費税を納めることになります。
 これに対して、「簡易課税」方式という特例を選択すれば、不動産賃貸業の場合、賃料収入の5割を賃貸経費にかかる消費税として計算できます。その結果、納付する消費税は賃料収入の2.5%という事になります。簡易課税の計算式は次の通りです。

賃料収入にかかる消費税 × 50% = 納付する消費税

 簡易課税を選択したい場合は、「消費税簡易課税制度選択届出書」を所轄税務署に提出しなければなりませんが、届出書を提出した日の属する年の翌年から簡易課税となります。ただし、簡易課税の届出書を提出した場合は、2年間の原則課税に変更できないので、注意してください。
 なお、簡易課税の選択は、その計算をしようとする年の前々年の課税売上高が5,000万円以下の場合しか適用できません。

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