夫婦で住宅ローンを組む場合はここに注意する

★共有名義にする場合の持分の分け方
 共稼ぎの夫婦がマイホームを購入する場合に、「夫婦で5,000万円のマンションを購入する予定ですが、マンションの名義はどのようにすればいいでしょう?頭金は、私(夫)が500万円、妻が500万円と合わせて、1,000万円を用意する予定です。また、足りない分の4,000万円は銀行から融資を受ける事になっています。」といった質問を受けることがあります。
 このような場合の名義をどうしたらよいのかというと、「提供した資金に応じた名義にする」というのが正解です。

 夫が提供した資金が3,000万円で、妻が提供した資金が2,000万円なのに、1/2ずつの共有名義にした場合は、夫から妻へ500万円の贈与があったものとされてつまに贈与税が課税されてしまします。
 このように説明すると、「趣旨は分かりますが、4,000万円の借入れについては、銀行から私と妻の連帯債務にしてほしいといわれてしまいます。連帯債務の場合には、それぞれがいくらずつ借り入れをしたことになるのですか?」というように質問されます。
 「連帯債務」とは一言で言えば、「共同で借り入れをしている」ということであり、銀行(債権者)に対しては、各債務者(夫婦それぞれ)がその借入金額の全額について返済義務を負う事とされてしまいます。そして、それぞれの負担(返済)割合をどうするかは、夫婦間できめることとされているのです。
 したがって、質問のケースのように、マンションの借入金が夫婦の連帯債務であるという場合には、まず、夫婦間で返済割合をどうするかという事を決めなければなりません。

★連帯債務の場合の持分割合
 通常、返済割合は夫婦の収入の割合を考慮にして決めます。たとえば、夫婦ともに公務員で収入が同じような場合は、返済割合を同額とし、連帯債務の負担割合も5対5というようにお互いに取り決めます。この場合には、マンションの名義は夫1/2、妻1/2とすることになります。
 また、連帯債務は夫婦それぞれが借入れをしていることと同じですから、夫の住宅ローン控除の対象となる借入金は4,000万円×50%=2,000万円であり、妻の住宅ローン控除の対象となる借入金も4,000万円×50%=2,000万円となります。
 なお、例えば今回の質問のケースで「頭金の1,000万円は夫が提供したものであり、借入も夫がすべて返済していく事にしているが、夫婦共働きであることから銀行の要請で、借入の形態が夫婦での連帯債務になってしまった」という場合があります。
 このような場合は、資金の提供者は夫だけであるため、マンションの名義もすべて夫にしなければなりません。そして、たとえ連帯債務となっていても、夫婦間の負担割合は夫100に対して、妻0と考えて、借入金の総額である4,000万円のマンション購入に伴う夫の住宅借入金となります。

★「連帯債務」と「連帯保証」は違う
 連帯債務とまぎらわしいものに、「連帯保証」があります。
 連帯債務が夫婦共同の借入であるのに対して、連帯保証はあくまでも「単独の借入」であり、たとえば、夫の借入に対して妻が連帯保証人となった場合は、例えば、夫がとどこおりなく返済している限りでは、妻に返済義務が生じることはありませんが、万が一、夫が破産するなどして返済できなくなった場合に、連帯保証人である妻に対して銀行がへんさいをせまるというようなものと考えていればいいでしょう。
 したがって、妻が連帯保証人であるというような場合は、借入金は全て夫の借入ですから、購入するマイホームの資金提供者は全て夫ということになります。このような場合には、夫婦の共有名義にすると、夫から妻絵の贈与よされますので、注意してください。

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