過去の販売価格や相場は信頼できない

 不動産会社の営業マンから、不動産査定の際に、しばしば登場する営業マンの一言ですが、「この辺の物件なら、3か月前に3500万円で成約しています。」とか、「大体、この近所で同様の物件でしたら、4000万円前後が相場ですかね~。」といった、思わず、聞いている売主からすれば、「なるほど、この金額が正しい金額、販売価格になるのか…。」といった感想があるでしょうし、逆のパターン、売主さんが、普段から自宅近辺の不動産物件の販売価格を近所の不動産会社の壁や窓に張り出されている物件のチラシや、ポストに投函される新聞の中に入っている折り込みチラシ、ポスティングされたチラシなどを参考に、「ここの物件の相場は3000万円が適正だな。」といった判断。

 いずれも、過去の金額を参考にしたデータです。確かに参考にすることはあっても、実際にそれが本当に適正な販売価格かというと、違います。また、それが、本当に相場かと言えば、違います。

 なぜ、違うのか?
 不動産の相場がそもそも動きやすいという事です。5000万円で過去に売られていたとしても3%の変動でも150万円違ってきます。分かりやすい所から行けば、季節的要因があります。人が動きやすい時期である1月から3月、8月や9月といったシーズンであれば、買主が集まりやすく、他の人に持って行かれたくない。早く決めたいといったシーズンの為、比較的高額で決まりますし、それ以外のシーズンに関しては、逆に買主が現れにくく、値段を下げて成約しているケースが多いといった事で、時期によってその相場が正かどうか、正確かどうかは分かれてくるところです。

 また、地域によっては広さではなく間取りによってニーズが変わってきます。当然ですが、ニーズが高い間取りであれば、相場よりも幾分高額で取引される事でしょうし、ニーズが低い間取りであれば、相場よりも幾分低価格で取引されることになるでしょう。
 例えば、都心部の人気のエリアと言われている所では、間取りが1LDKなどの一人暮らし用であったり、夫婦2人で暮らすような間取りが好まれ、少し都市部から離れた郊外であれば、家族で暮らすような3LDKや4LDKのニーズが高いと言えます。
そういった地域によって人気の間取りが異なるので、単純に広さだけでは相場を出せないケースというのも存在します。

 相場が分かっていても、相場通りに出せない厳しいケースもあります。例えば、住んでいるマンションと同じ、マンションから物件の販売が行われているケースです。しかも、同じような間取りで、方角も同様または、劣ってしまう場合です。
 こうなってくると、買主はどうしても、その物件と比較してしまうので、よほどの特長が無い限り、例えば、ここからしかこの風景を見ることが出来ないなどのポイントが無い限りは、確実に安い金額で販売している物件が先に売れるので、そちらが売れるのを待つか同様の金額で販売していくしかありません。
 買う側も大金をはたいて購入するので、物件を探す努力は人一倍行っていますので、同マンションの売出物件は確実に見ているとお考えください。

 では、どうやって相場や販売価格を見出すのか?
 といった問題になりますよね?相場や販売価格は、土地の相場が為替や季節的要因、ニーズによって大きく左右しています。不動産会社でも相場ですと言って査定をしていますが、絶対の信頼を持って査定した結果であるかと言えば、どうしても過去の事例を引き合いに出したり、現状の競合を引き合いに出しているケースが多いです。
 そこで、お勧めするのが、数多くの異なる規模、異なるバックグラウンドの不動産会社の査定を出してもらう事を推奨します。高い査定額を出してくれたところに決めると言うものではありません。大手から地場、総合商社系など、色々な不動産会社がいます。そのなかの出してもらった査定額の中から、中間を採る。その中でも納得の金額を出し絵貰ったところの金額を参考にするというのが、目安になると思います。
 また、それぞれの査定を出した会社に対して、何故、この金額なのか、納得のいく説明があった会社の査定を信頼するようにしましょう。「これが相場です。」と具体的な理由を出さないような不動産会社は信頼してはいけません。
 分かりやすい、納得しやすい説明をしてくれる不動産会社を信頼するようにして下さい。

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