不動産売却時に使える節税や税金対策とは?

 土地及び建物の不動産を売却して不動産売却益が出た場合、不動産譲渡税としてその所有期間の長さにより長期譲渡所得と短期譲渡所得が一定の計算式の下で課されます。
 このどちらに分類されるかにより税率が大幅に変わってくるので所有期間に留意して長期譲渡所得となる状況で売却するのが税金対策として有効です。


税金対策として考える譲渡所得税の所有期間に係る税率
1,不動産売却時の不動産売却益に係る税金の計算方法
2,不動産譲渡税に係る種類及び税率
3,確定申告納付額の差と節税
4,税金対策としての譲渡所得税に係る所有期間の戦略


1,不動産売却時の不動産売却益に係る税金の計算方法
 不動産とは土地及び建物のことを言います。この不動産売却をする際に発生する不動産売却益である譲渡所得について不動産譲渡税が課されます。これは、事業所得や給与所得と分離して課税されることとなっている税金です。
 不動産譲渡税についての計算方法については、不動産売却代金からその不動産に係る取得費及び譲渡費用を差し引いて計算することとなります。この取得費とは売却不動産に係る買い入れ時の購入代金や購入手数料等の当該不動産を取得するために要した費用に、その後の設備費改良費等を加えた合計代金をいいます。次に譲渡費用とは土地や建物を売却するために支出した諸経費のことをいい、仲介手数料や売買契約書の印紙代、さらに土地の上に建物が存在する場合に土地のみ売却するために当該建物を解体した費用も含まれます。この計算のもとで不動産売却益が出た場合に課税されるものです。


2,不動産譲渡税に係る種類及び税率
 基本的な計算の方法は上記のとおりですが、不動産譲渡税についてはその不動産の所有期間により当該不動産売却益に係る税額計算が異なってきます。
 まず、譲渡した年の1月1日の時点において当該不動産の所有期間が5年を超えるものを長期譲渡所得といいます。次に、譲渡した年の1月1日の時点において当該不動産の所有期間が5年以下のものを短期譲渡所得といいます。ちなみに法律用語で「以下」はその数値を含むもの、「超える」はその数値を含まないものなのできっちり5年だと短期譲渡所得となります。この2つで差があります。
 長期譲渡所得については、課税長期譲渡所得は、譲渡価格から取得費と譲渡費用を差し引いた金額からさらに特別控除を差し引いた金額により算出します。この課税長期譲渡所得に対して所得税は15%、住民税は5%の税率を掛けて算出した金額が税額となります。
 なお、この特別控除についてはマイホームを売却した場合の特例で所有期間の長短に関係なく3000万円まで控除されるもの等です。これらの特別控除を活用するのも税金対策としてはとても重要となります。


3,確定申告納付額の差と節税
 一方、短期譲渡所得については、計算式である譲渡価格から取得費と譲渡費用を差し引いた金額から特別控除を差し引いた金額により算出する点は同じです。しかし、この課税短期譲渡所得について課される税率については所得税が30%、住民税が9%です。
 短期長期とも税率に差があります。特に譲渡所得税についてはこの差はかなり大きいです。例えば、不動産が5000万円で売却でき、取得費が2500万円、譲渡費用が500万円として計算すると課税譲渡所得は2000万円です。この金額に対し、長期譲渡所得であれば所得税は税率15%で300万円、住民税が税率5%で100万円で合計が400万の税額を確定申告で納付することとなるのに対し、短期譲渡所得であれば所得税は税率30%で600万円、住民税は税率9%で180万円で合計780万円を確定申告で納付することとなり差額が380万円という大きな税額の差を生んでしまいます。


4,税金対策としての譲渡所得税に係る所有期間の戦略
 そこで、譲渡所得税及び住民税について税金対策を考えるとするならば、不動産価格の推移が異常なバブルとなるか異常な下落をたどることがない限りその所有する不動産をできるだけ長期で保持し5年を超えた時点まで売却を我慢するのが節税するためには有効な手段ということができます。
 この5年間の保持について、固定資産税や都市計画税等の諸経費を支出するのも困難であるという場合について、当該不動産を相続や贈与によって取得したという方にはさらにお得な方法があります。
 すなわち、相続や贈与により土地を取得した場合については、5年間の所有期間の計算については、原則として被相続人や贈与者が取得した日から計算することとなっているからです。
 このような場合にあてはまる場合でしたら、節税するために我慢して保持する必要はありません。早急に売却しても税率は長期譲渡所得の税率となります。

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