不動産売却の見積もりはあくまで見積もり

 マンションや戸建て住宅を住み替えなどの理由で売却を検討する際、まずは、不動産会社に物件の査定を行ってもらいます。その際、一括査定サイトを使って、より良い高額な査定をしてくれた不動産会社と媒介契約を結ぼうとしますが、実はこれは、かなり危険な行為と言えます。
 査定額と売却成約金額は違うという事を念頭に入れておきましょう。


もくじ
1.簡易査定はあくまで目安
2.高額な査定には落とし穴がある
3.「過去の事例に即した見積もりや実績」と言う言葉は危険
4.地場の不動産会社や大手の違い


1.簡易査定はあくまで目安
 まず、最初に一括査定サイトで数多くの不動産会社から数多くの査定をもらいますが、これは簡易査定と言われており、あくまで目安でしかありません。

 あたり前ですが、実際に物件を見ていない中での査定で、路線価や地価などから土地の値段を算出し、築年数と建物面積、間取りなどから査定しています。
 この査定の中から気になった不動産会社をチョイスして、実際の査定に来てもらいます。この時点で高額な査定を出している不動産会社は単純に本査定に進みたいだけで、間違いなく、本査定額は下がるケースです。

 ここで見抜くのは、数多くの不動産会社から出てきた査定額と、対応の速度と質です。
 査定額の大多数は、それほど、違いが無いと思われます。大体、この金額で売れるという認識だけをしておきましょう。
 また、その中でも、大幅に高額な不動産会社は、先ほどの理由で危険なので、無視して、相場的な金額の中から高額な見積もりを出してくれる不動産会社にチェックをしておきましょう。


 また、査定の速度です。不動産会社はサービス業です。見積もりに時間がかかるようであれば、対応力に不安を覚えます。3営業日以内に見積もりが出てこないような不動産会社はマイナスの評価と考えましょう。
 販売期間中に、質問をしても、返事がなかなか帰ってこないような不動産会社と契約したいですか?人によっては命の次に大事にしている資産でもあるマイホームです。そんな対応をしてくる不動産会社との媒介契約は避けましょう。

 ただ、見積もりの速度が早ければよいという者でもありません。中身が軽薄であれば、取り急ぎ、見積もりを出してみたという適当な会社である可能性もあります。

 一般的に、見積もりや簡易査定であっても、その査定額になった理由は明確にすべきです。理由が明確でない見積もりは、あまり信用してはなりません。



2.高額な査定には落とし穴がある
 高額な査定に関しては、簡易査定であっても本査定であっても、疑念を持って対応しましょう。確かに高い査定をしてくれるという事は、自分のマイホームの資産としての価値を評価してもらったという事で、気が良くなってしまい、思わず媒介契約をしたくなるのが人情ですが、「果たして、その高額な査定額は、どうしてその金額になるのか?」と言う点をしっかり確認してください。

 以下のようなことを言ってくる不動産会社はまずありえません。
・独自のネットワークで販売しています。
・独自のノウハウでこの金額で査定しました。
・失敗しても当社が買い取りますから安心です。

 上2件の例でいえば、独自のネットワークやノウハウなんてものはあり得ません。そんなものがあれば、他の不動産会社は倒産します。

 販売方法は大手であっても地場の不動産会社であっても変わりありません。主変区域に対するポスティングと新聞の折り込み、Yahoo!不動産、HOME'S、スーモなどの不動産ポータルサイトでの展開、その不動産会社のホームページでの展開が一般的です。
 もし、独自と言う言葉が出てきたら、具体的にどういった手法なのかを確認しましょう。怪しい専門用語などを並び立てたり、隠すような会社は危険です。販売活動後数か月で買主が現れなかったので、販売価格を下げましょうと値下げ交渉してきます。

 また、買い取ってくれるという不動産会社もリスキーです。大手不動産会社でも、買い取ります的なサービスを提供していますが、かならず、不動産会社の買取価格を提示してもらった方が良いです。かなり値下げされた条件での買取をされるのが一般的で、全くメリットがありません。


3.「過去の事例に即した見積もりや実績」と言う言葉は危険
 査定額の理由として、過去のその不動産会社での販売実績や、過去の周辺地域での事例などと言う言葉が出てきたら、これも要注意です。

 不動産価格の算定元になる地価や路線価などは日々変化しており、生き物のように変動しています。株式と一緒です。安い時期であれば、買いが集まり、高くなれば、売れなくなるという一般的な理論です。

 過去の事例などは全くアテになりません。今現在の実績と言われない限り、信用してはなりません。もし、事例であてにできる部分があれば、同じマンションで販売中の物件があり、この金額で売れる予定ですとか、今月、この金額でこの間取りの部屋が成約したといったような内容です。
 それでも、間取りや、方向などで違ってくるのであくまで参考値です。


4.地場の不動産会社や大手の違い
 大手不動産会社だから安心とか、地場で近隣で長らく頑張ってきたから安心の不動産会社であるといった観点も捨てましょう。
 販売方法、販売手法はほとんど一緒です。

 むしろ、気にすべきは対応する営業担当者の親切さ、丁寧さ、伝わりやすい言葉で伝えてくれて、説明内容が全て腑に落ちるかどうかが大事です。
 また、その不動産会社の過去の営業手法の事例を見せてくれることです。webではどういった形で掲載しいるのか?他の物件よりも、目立つかどうか?分かりやすいかどうか?また、販促に関しても、チラシやポスティングはどの程度の枚数、何回ばら撒いてくれるのか?チラシはカラーで掲載してくれるのか?どの程度の面積を使ってくれるのか?
 その不動産会社の熱意を見て取ることができます。

 大手と地場の違いで選ぶのではなく、その会社や担当者がどの程度の事をしてくれるのか?を具体的にわかりやすい言葉で説明してくれるかどうかが、重要です。

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