不動産鑑定士の鑑定と、不動産会社の無料の査定の違いは?

 2019-08-26   鑑定士 | 鑑定 | 査定 | 違い | 費用
 モノの値段は需要と供給で決まります。売り手は自由に値段を決めることができますが、その値段で買いたいという買い手がいなければその価値は机上のものにすぎません。
 不動産鑑定士による鑑定は、近隣の取引事例や需要予測、収益還元法などの多面的なアプローチから土地の客観的な価値を試算するもので、一方不動産会社による査定は、いくらの価値があるかよりもいくらで売れるかをシミュレーションします。
 この二つのアプローチは共通点も多いですが、一番の違いは査定の場合は実際に消費者と接する立場の不動産会社が行う点です。


もくじ
1.有料で鑑定の方程式に則って鑑定評価基準に則り鑑定書を提供
2.査定は、その不動産会社が幾らで販売価格を決めるためのモノ
3.どんな時に鑑定士にお願いすれば良いのか?
4.売却目的の場合、一般的には、不動産会社の査定で十分


1.有料で鑑定の方程式に則って鑑定評価基準に則り鑑定書を提供
 不動産鑑定士は日常生活の中で接点は少ないですが、弁護士や公認会計士と並ぶ文系の3大難関資格の一つです。
 主に国や地方自治体が絡む不動産取引など、客観性を重視する土地の鑑定を行うため、法律で定められている鑑定評価基準に則って鑑定し、その鑑定書は法的な効力も持っていますが、それだけに費用も有料です。
 したがって、所有者が一人ではなく共有であり、利害関係者が複数いる場合に取引価額の公平性を担保する場合などに不動産鑑定士に依頼する場合があります。ただし、鑑定の方程式に則った鑑定評価基準といえども、データのとり方は算数のように単純ではないので、複数の鑑定士の計算結果が同じになる保証はなく、むしろ違いは必ずあります。
 計算結果が同じではなくても、鑑定評価基準に基づいた公的資格の鑑定士の鑑定結果はどれも正しいということができます。


2.査定は、その不動産会社が幾らで販売価格を決めるためのモノ
 一方、不動産会社の査定は販売価格を決めるための参考データです。
多くの場合、不動産会社は査定自体は無料で行い、売買が成約に至った場合に仲介手数料を支払います。
 査定は主に近隣の取引事例や公示価格など、客観的なデータも用いますが、実際に消費者と直接接する機会もあるため、見込み需要などの変数が鑑定士による鑑定書よりも大きなウェイトを占める傾向があります。
 その反面、不動産会社の回答を基に買い手探しを依頼する媒介契約を結んでも、実際に成約までには値下げ交渉を受ける場合もあります。故意に高い値段で契約を促すつもりとは限りませんが、査定が他社の結果と比べて高すぎる場合はその値段で売れる根拠があるかを確認すると有効です。


3.どんな時に鑑定士にお願いすれば良いのか?
 東京のマンションは、地元の買い替え需要に限らず全国各地からの移住や投資など、様々な需要が見込めます。実は住み替えの人にとっての価値は資産価値を重視する一方、投資家にとっては収益力がポイントになるなど、評価の基準が異なるため、だれに売るかで価格が大きく変わることがあります。
 そのため、公平性・客観性重視の鑑定士による鑑定書よりも実際の需要を知っている査定の方が有効なことも多く、有料の鑑定のメリットは必ずしも高くありません。
 ただし境界があいまいな土地や、マンションの修繕積立会計の状況など、複雑な権利関係を持った物件の価値を試算する場合は、透明性のある鑑定評価基準が有効なため、有料でも不動産鑑定士に依頼を検討すると効果的です。


4.売却目的の場合、一般的には、不動産会社の査定で十分
 鑑定士による鑑定と、不動産会社による査定の一番大きな違いは有料か無料かです。
 どちらも、計算結果が算数のように単純ではないことや、その値段で売れることを保証するものではないため、プロセスは違っても利用者にとっての利用価値は大きく変わりません。
 ただし、東京の場合はマンションの価格が他の地域に比較して高額なため、価値を決めるために費用をかけてもペイする場合があります。反対に東京以外で取引価格自体が小さい場合は費用をかけると経済合理性が合わなくなってしまいます。
 とはいえ、鑑定や査定のプロセスにお金をかけたからと言って高く売れるわけではないので、後で後悔しないように納得するための保険としてなら有効です。
 費用をかけるよりもその分手許にお金を残すには、複数の不動産会社に査定を依頼し、比較検討すると効果的です。

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