取得費に含まれるものと概算取得費の求め方

★「取得費」に含まれるものは
「取得費」とは、土地や建物の取得に要した金額に設備費および改良費を加えた金額とされています。
 ただし、建物の場合には、建物の取得価格から売却時までの減価償却費相当を控除した残額が取得費となります。
 いわゆる購入代金のほかに、取得費に含まれる主なものは次の通りとなります。
1、	購入時に不動産業者に対して支払った仲介手数料
2、土地や建物を購入する際に支払った立退料
3、住宅や工場などの敷地を造成するために要した宅地造成費用
4、取得について争いのある資産について、その所有権等を確保するために要した訴訟費用や和解費用
5、土地の利用を目的として、建物付きの土地を購入した場合に、その取得後おおむね1年以内に建物を取り壊した場合の取り壊し費用等
6、購入時の売買契約書へ添付した印紙代、登記費用、不動産取得税

なお【6】については、事業用の不動産の場合は、印紙代や登記費用、不動産取得税は取得費ではなく、その事業にかかる必要経費となります。
また、借入れにより土地を購入した場合の支払利息は、その土地を使用するまでの期間に対応する支払利息が取得費となります。

★「取得費」に含まれないものは
 取得費に含まれるかどうかで間違いやすいモノとして、維持管理費に要した費用があります。この維持管理に要した費用が取得費とはならないことになっているので、固定資産税や修繕費は取得費とはなりません。

 「数年前に、家のリフォームをしました。壁の塗替えや壁紙の張替え、畳の表替えなどで200万円ほどかかったのですが、この費用は建物の取得費として経費になりませんか?」といった質問を受けることがあります。
 このような場合、基本的には現状を維持するための維持修繕の費用ですから取得費に含めることはできません。ただし、畳をフローリングにしたり、台所をシステムキッチンにしたりとか、壁をモルタルからタイルに張り替えたといったように、その資産の価値を高めるものは「資本的支出」といって、その資産の取得費となります。しかし、この判断は非常に難しいので、税務署や税理士に確認するようにして下さい。
 なお、壁の塗替えや畳の表替え等が譲渡をするためになされたものであるときは、取得費にはなりませんが、「譲渡費用」として必要経費になります。また、庭の草刈り費用なども取得費にはなりませんが、譲渡をするためになされたものであれば、譲渡費用となります。

★「概算取得費」の求め方
 取得に要した費用が分からない場合は、譲渡収入(売却代金)の5%を取得費とすることが認められています。これを「概算取得費」といいます。何十年も前に購入した土地などで、実際の取得費よりもこの概算取得費の方が有利な場合には、概算取得費を使ってもかまいません。
 取得費が分からない場合の概算取得費の求め方は、以下の算式によって求められます。

 取得費=譲渡収入(売却代金)×5%
 なお、概算取得費を適用する場合は、たとえ土地や建物の取得後に行った設備費、改良費等の実績がわかっていても、その費用を概算取得費に加算することはできないので、注意してください。

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