持ち家を含め、不動産の所有者が直面する悩み、問題点

2013年度の税制改正大綱が発表され、相続制の増税がほぼ確定した1月末から、「相続対策」や「相続対策のための不動産活用」をテーマにしたセミナーが毎月、毎週のように各地で開催され、どの会場も大勢の人たちでにぎわっています。
参加者の多くは50代から70代ぐらいの人たちで、専門家の話に熱心に耳を傾け、メモを取る姿は真剣そのもの。それだけ相続税の課税強化に対する関心は高く、所有する不動産に頭を悩ませている人は多いということではないでしょうか?

★なかでも、土地に関する悩みの多くは税金のこと
日本人の持家率は、全年齢の平均で約6割、65歳以上では8割以上(総務省「住宅土地調査」平成20年)と、年齢が高くなるほど持ち家の保有率は高くなります。
 さらに、20歳以上の人の5人に1人は居住している土地以外の土地も所有しているなど、予想以上に不動産の所有率は多いことが分かります。
 不動産、とりわけ土地を所有する人たちに共通する悩みとして挙げられるのは、税金に関する事。
 具体的には、所有する土地に係る毎年の「固定資産税」、土地から生じる収益に課せられる「所得税・住民税」そして、相続時に財産として課税される「相続税」の3つです。
 固定資産税については、「親から相続した実家の土地があり、その分まで納めねばならず、負担になっている」と言う人や、「所有する駐車場や遊休地などにかかる税額が重い」と言う人も少なくありません。
 また、賃貸アパートや投資用マンションを所有する人などは、それによって不動産所得が多くなり、毎年の所得税や住民税も高くなって、納税資金に苦慮していることも、平成27年からは、所得税の最高税率も45%へと上がるため、複数の収益物件を保有する人などは、住民税と合わせて最高55%の税率になることもあります。

★もっとも気になる相続税は子供世代に負担が増大
 「所有するのは自宅の土地・建物だけ」という人から、先祖代々引き継がれている複数の土地を所有する地主さんまで、今最も気になるのは、何と言っても相続税の事。
 2015年から相続税の基礎控除が4割も引き下げられます。それによって、今までなら相続税の心配とは無縁だった人たちも、「親が万一の時には、自分たちも相続税を払わなければならないのか?」、「実家の土地はどれくらいの価格になるのか?」ということを、あらかじめ調べておくことが重要になっています。
 というのは、固定資産税や所得税は、不動産の所有者本人に係る税金ですが、相続税は不動産などの財産を引き継ぐ人、相続人である子供などに係る税金だからです。
70代、80代の親御さんが健在という人たちは、相続税に関しては、自分の事より、まず先に親の相続の事を考えなければなりません。
もちろん、親が元々資産家で、改正前でも相続税の課税対象となる人たちは、改正後は今までよりどれくらい税額が増えるのか?具体的に試算して、納税資金の確保の仕方も考えておくことが必要でしょう。
相続税の事だけ考えれば、残される財産は現金よりも不動産の方が有利なことは確かです。その反面、土地や建物は簡単には分けられないため、遺産分割でもめる大きな原因になることも少なくありません。だからこそ、早めに何らかの対策を講じておくことが大切なのです。
高齢になった親を支えるのは、子供しかいません。相続に備えて不動産をどうするか、親子で一緒に考え、子供たちは協力して親をサポートしていく体制が求められます。

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