事業をやめてから売却した場合は買換え特例は適用されるのか?

★実際に現在、事業の用に供しているかどうか?
 「事業用の買換え特例」は、その名のとおり売却資産、買替資産いずれも、事業用の資産であることが条件です。また、売却資産に関しては、売却時において事業の用として使われていることが必須の資産であることが肝要です。
 つまり、マイホームの3,000万円控除や買換え特例といった「住居用」の特例では、住居の為に供さなくなった日から3年目の12付き31日までに売却(譲渡)すれば、特例を受けることができることになっていますが、「事業用の買換え」の場合は、「事業で使われていた不動産」ではなく、「事業で使用している不動産」を売却しなければ、適用が受けられないという事です。

【事業用の買換え特例を受けるための不動産売却資産の条件】
・過去に事業用で使用していた→【×】
・現在、事業用で使用している→【○】

 では、「木造建築のアパートが老朽化してきました。それで、売却することにしました。ですが、アパートの入居者を立ち退かせた後に、不動産業者に仲介を依頼したのですが、しばらく買い手が見つかりませんでした。結果、立ち退きから1年後にやっと、売却することができました。この売却に関して、事業用の買換え特例を適用したいと考えておりますが、適用を受けることは可能な条件になっておりますでしょうか?」
といった事例はどうでしょうか?

 このケースでは、アパートの入居者を立ち退かせて賃貸事業を行わなくなったタイミングで「事業の用に供している」とは言えません。売却時点では、事業の用に供している事にはなりません。
 ですが、この「事業の用に供している」という解釈に関しては、「その事業用資産としての現実の仕様が停止されたとしても、その時点でただちに非事業用資産に転用されたと言うものではなく、現実の共用が停止された後も相当の期間内は、事業用の資産としての性格を失うものではない」とされています。

 「相当の期間」という言い方は非常にあいまいで、具体的にはどういうことなのか?気になる方もいらっしゃることでしょう。実は、特に規定がある内容ではありません。その事業用の資産の性質、現実の共用が止ってしまった理由、停止後の売却から買替えへのプロセスなど、全体を判断する内容になっています。
 こんな内容では、どのように解釈すればよいのか?全く理解ができませんが、こういったケースでは、たとえアパートの賃貸が停止してから1年後の売却であったとしても、買換え特例は適用されるものと存じます。
 ここで重要なことは、「アパートの立ち退き終了後、直ぐに不動産業者に売却の仲介」を依頼しているかどうか、売却する為に賃貸事業を終了させたことが明らかになる証拠を明確にしているかどうかです。

 上述の通り、入居者と立ち退かせてから、他の用で転用されることなく、売却活動をしっかり続けていたにも関わらず、偶然、売却までの期間が長期化したという事であれば、事業用の買換えの適用は可能であると、思ってください。
 例えば、立ち退き終了から、半年後に不動産業者への売却の仲介を依頼して、それからさらに半年後に売却が決まったというようなケースでは、「立ち退きによる事業の用に供することの停止が、売却する為に行われたものかどうかの判断がしにくい」為に、買換え特例は適用されない可能性が高いと思われます。

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